羅老宇宙センター

羅老宇宙センターは、大韓民国の宇宙開発において極めて重要な役割を担う施設です。全羅南道高興郡に位置し、特にその一部である外羅老島に建設されたこのセンターは、韓国初の本格的なロケット射場として知られています。

概要と建設経緯

羅老宇宙センターの建設は2000年に開始されました。これは、韓国が自国の手で人工衛星を打ち上げる能力を持つための第一歩でした。建設にあたっては、[ロシア]]からの技術協力が得られ、韓国航空宇宙研究院]の主導のもと、現代重工業が施工を担当しました。総事業費は約3,125億ウォンを投じ、韓国南西部の海岸線、特に外羅老島の崖を切り開いて建設されました。約4.9平方キロメートルという比較的コンパクトな敷地に、[[ロケット打ち上げに必要な様々な設備が集約されています。

羅老ロケットによる挑戦

センターの完成後、最初の目標は韓国初の国産ロケットとなる「羅老」（KSLV-I）による衛星打ち上げでした。当初、第一期工程は2008年9月に完了し、同年12月には羅老ロケットにSTSAT-2A衛星を搭載して打ち上げられる予定でしたが、韓国とロシアの間で結ばれた宇宙技術保護協定（TSA）により、ロケットの第一段に関する技術供与に制限が生じたため、計画に遅れが生じました。

紆余曲折を経て、センターの竣工式は2009年6月11日に行われました。最初の打ち上げは同年7月30日に予定されましたが、技術的な問題や天候などにより度重なる延期に見舞われました。最終的に、2009年8月25日に羅老1号機が打ち上げられましたが、衛星を覆うフェアリングの一方が正常に分離せず、搭載されていたSTSAT-2A衛星を軌道に乗せることはできませんでした。

再度の挑戦として、2010年6月10日には羅老2号機がSTSAT-2B衛星を搭載して打ち上げられました。しかし、離陸からわずか137秒後にロケットからの通信が途絶え、機体は爆発・墜落するという悲劇的な結果に終わりました。皮肉なことに、この打ち上げの前日である6月9日にも、発射台の消化設備に問題が発生し、打ち上げが延期されるというトラブルが起きていました。

三度目の正直として、2013年1月30日、羅老3号機がSTSAT-2C衛星を搭載して打ち上げられました。この打ち上げはついに成功し、衛星は無事所定の軌道に投入されました。これにより、韓国は自国の射場から自国開発（一部技術協力含む）のロケットで衛星を打ち上げるという長年の目標を達成しました。

将来への展望

羅老宇宙センターは、羅老ロケットの成功に満足することなく、さらなる発展を目指しています。2015年までに第二期工事が完了し、将来的にKSLV-2（韓国型ロケット）を用いて1トン級の人工衛星を打ち上げ可能な規模に拡張される計画が進められています。KSLV-2の開発に伴い、次の打ち上げはKSLV-2の試験ロケット発射が予定されている2018年以降、そして本格的なロケット打ち上げはKSLV-2の完成が期待される2021年以降になる見込みです。

主な施設と所在地

広大な敷地内には、ロケット打ち上げに必要な多岐にわたる施設が配置されています。主要なものとしては、実際にロケットが打ち上げられる宇宙発射体発射台（射場）、打ち上げシーケンス全体を管理・指揮する発射統制センター、ロケットや衛星からのデータを追跡・受信するレーダー及びテレメーターセンターがあります。また、ロケットや衛星を組み立てるための発射体組立ち施設や衛星実験施設、固体燃料ロケットモーターの性能を試験する固体モーター実験施設なども整備されています。一般市民向けの施設としては、宇宙開発について学べる宇宙体験館や、報道関係者に対応するプレスセンターも設置されています。

羅老宇宙センターの公式な所在地は、大韓民国全羅南道高興郡蓬莱面曳内里（外羅老島）です。その地理的な位置は北緯34度25分54.72秒、東経127度32分6.25秒となっています。打ち上げ時の追跡・管制を支援するため、離れた場所にも関連施設が存在します。例えば、済州道西帰浦市には「済州追跡所」があり、ロケットの飛行を追跡する役割を担います。また、センターの運営主体である「韓国航空宇宙研究院（KARI）」は大田広域市に本部を置いています。

羅老宇宙センターは、過去の失敗を乗り越え、韓国が独自の宇宙開発能力を確立するための重要な基盤となっています。将来的な施設拡張とKSLV-2の開発により、韓国は世界の宇宙先進国への一歩を踏み出そうとしています。

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