美作
後藤氏(みまさかごとうし)は、戦国時代に
美作国(現在の岡山県北部)で勢力を誇った国人領主です。そのルーツは、利仁流を称する播磨
後藤氏にあるとされていますが、家系図では同じく魚名流の一派である秀郷流の末裔としています。
戦国時代以前の美作後藤氏
美作
後藤氏の記録で最も古いものは、
1350年の山名義理の書状です。この書状には、後藤下野守が塩湯郷の地頭職に推挙されたことが記されています。その後、康季、良貞と地頭職は引き継がれました。居城としていたのは三星城で、滅亡するまでの約200年間、この城を守り続けました。
立石氏との攻防、そして滅亡へ
1498年、後藤康秀は美作中央部に勢力を持っていた立石氏を攻めましたが、美和山城主の立石景泰に敗れて戦死しました。その後、康秀の子である勝政は、父の仇を討つ機会をうかがっていました。
1502年、立石景泰が亡くなり、子の立石久朝が跡を継いだ際、勝政は再び美和山城を攻め、これを陥落させ、立石氏を滅ぼしました。これにより、
後藤氏は東作州における覇権を確立しました。
勝政の孫である勝基の時代には、
後藤氏は全盛期を迎えました。安東氏、江見氏、水島氏、小坂田氏といった近隣の在地土豪を支配下に置き、
赤松氏の一族である豊福氏の勢力を東作州から一掃しました。勝基は当初、
尼子氏に従っていましたが、
尼子氏の勢力が衰退すると、備前の浦上宗景に寝返り、
浦上氏を後ろ盾に東作州を完全に掌握しました。
勝基は家督を嫡男の元政に譲りましたが、引き続き後見として影響力を持ち続けました。しかし、
1579年、浦上宗景を滅ぼした
宇喜多直家が美作を制圧するために出兵しました。同年3月頃から三星城への攻撃が開始され、5月に落城し、美作
後藤氏は滅亡しました。勝基は自害し、子である元政は落ち延びたとも、城で討ち取られたとも言われています。
後藤基秋
後藤種則(基秋の子)
後藤基則(種則の子)
後藤康基(基則の子、別名:良楢)
後藤義季(康基の長男)
後藤康季(康基の次男、義季の弟)
後藤季治(康季の子、別名:良貞?)
後藤理季(季治の子)
後藤康秀(理季の子、別名:勝国?)
後藤勝政(康秀の子)
後藤勝国(勝政の長男)
後藤勝基(勝国の子、別名:勝元)
後藤元政(勝基の長男、別名:基政、勝政)
後藤義政(元政の子)
後藤基義(義政の子)
後藤元行(勝基の次男、元政の弟)
後藤基家(勝政の次男、勝国の弟)
後藤久基(基家の子)
(※ここでは、系図の具体的な内容は省略します。必要であれば、別途お問い合わせください。)
主な盟友
草刈重継
浦上宗景
尼子晴久
参考文献
渡邊大門「
美作国後藤氏の権力構造」『年報
赤松氏研究』第4号、
赤松氏研究会、2011年、62-80頁、NAID 40018717685。
美作
後藤氏は、戦国時代の激しい動乱の中で、約200年もの間、
美作国に確固たる勢力を築き上げました。その興亡の歴史は、当時の地方領主の複雑な人間関係や勢力争いを色濃く映し出しています。