美津乃あわ

美津乃 あわ（みづの あわ）

美津乃 あわは、1968年1月19日に兵庫県西宮市で生まれた日本の舞台俳優です。現在は、劇団「片岡自動車工業」のメンバーとして活動しており、アンディオールプロモーションの協力のもと、関西の演劇界を拠点に多岐にわたる表現活動を展開しています。

幼少期から人を惹きつける才能を持ち、小学校時代のお楽しみ会では「バカ殿様」として観客を大いに笑わせました。高校時代には演劇に打ち込み、阪神支部演劇大会での最優秀賞受賞という輝かしい実績を残しています。高校卒業後、彼女は美術大学へと進学しました。芸名の「美津乃 あわ」は、大学時代に高校演劇の仲間と劇団を立ち上げた際、「面白い名前をつけたい」という遊び心から生まれました。言葉遊びの「水の泡」に、本名に入っている「美」の字を加えたものだそうです。また、舞台上で一際目を引く、つけまつげやアイラインを強調した特徴的なメイクは「あわメイク」として知られています。これは、ファントマへの参加以前から彼女が行っていたもので、遠い客席からでも顔の表情がよく見えるようにと考案されたものです。

俳優仲間である粟根まことは、彼女の意外な一面を語っています。舞台上の個性的な姿とは異なり、素顔の美津乃あわは非常に家庭的で、穏やかな人柄の持ち主だといいます。料理や掃除が好きで、可愛らしいものを愛でる趣味があるそうです。また、共演時に座長である伊藤えん魔氏を細やかな気配りでサポートする様子を見て、感心したと証言しています。動物をこよなく愛し、2015年の春からは茶トラのチニタと三毛猫のマヌエルという二匹の猫と共に暮らしています。特にチニタは、ドローンを撃退する姿が話題となり、テレビ番組に出演した経験もあります。

美津乃あわの活動の中心は、1992年から現在まで続く精力的な舞台出演です。劇団kocho小町での活動を皮切りに、ファントマ、伊藤えん魔プロデュース、リリパットアーミーII、ピースピット、石原正一ショー、劇団鹿殺し、ポップンマッシュルームチキン野郎、TAAC、SYOMIN'S、玉造小劇店など、関西小劇場界を牽引する数多くのカンパニーやプロデュース公演に参加し、多様な役柄を演じてきました。一人芝居や二人芝居にも挑戦し、俳優としての表現力を磨いています。近年は所属する片岡自動車工業の公演で重要な役割を担うほか、演劇ユニットSUPERNOVAなど、新たな座組でも活躍しています。俳優業に留まらず、自身の企画で脚本や演出を手がけたこともあり、演劇創作者としてもの一面も持ち合わせています。

舞台以外のメディアでも幅広く活動しています。テレビドラマでは、関西テレビの「ソードブル〜ジライヤ忍法帳」に準レギュラー出演したほか、NHKの連続テレビ小説「芋たこなんきん」や時代劇「あさきゆめみし 〜八百屋お七異聞」に出演しました。テレビ番組では、ニュース、情報、バラエティなど様々なジャンルで活躍し、関西テレビの「BAT corp.」にはレギュラーとして出演し人気を博しました。英会話教室、遊園地、食品関連など、複数のCMにも起用されています。ラジオの世界でも活躍し、ABCラジオの「真夜中コンビニ・伊藤えん魔のAMam」では、長年にわたりレギュラーパーソナリティとして多くのリスナーに親しまれました。その他、複数のラジオ番組に出演しています。1987年には映画「さよならの女たち」に出演した経験もあり、広告モデルとしても活動しています。

音楽活動にも意欲的で、アカペラユニット「Bravissimo」に参加したほか、PACIFIC COAST HIGHWAY & 浅野彰一と共にシングル「Crazy For You」を発表し、ソロアルバム「アイノウタ」もリリースしています。また、俳優業と並行して、大東市文化情報誌「リブレ」でコラムの連載を担当するなど、文筆の世界でもその才能を発揮しています。

その独特の個性と、舞台を中心にテレビ、ラジオ、CM、音楽、執筆と多岐にわたる活動を展開する美津乃あわは、関西演劇界のみならず、広くエンターテインメントの世界において欠かせない存在感を示しています。その尽きることのない表現への探求心は、観る者、聴く者を常に魅了し続けています。

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