美濃国府跡

美濃国府跡について

美濃国府跡（みのこくふあと）は、岐阜県不破郡垂井町府中に位置する重大な官衙遺跡であり、古代美濃国の国府の跡地です。2006年に国の史跡に指定され、地域の文化遺産の一部として保護されています。

概要

美濃国府跡は、濃尾平野の西端に位置する微高地にあり、周囲は川に囲まれています。この地域は、律令制度下の美濃国の中心地であり、不破の関を管轄する重要な役割を担っていました。発掘調査によれば、美濃国府政庁は8世紀前半に設立され、何度かの建て替えを経て10世紀中頃にはその役割を終えたことが分かっています。しかし、政庁の廃絶後も、13世紀初頭までこの地には一般的な集落とは異なる大きな勢力が存在したと考えられています。

発掘前の状況

美濃国府の存在については、古典文献『和名類聚抄』に記載があり、これにより不破郡にあったことが示されています。また、地名の「府中」は、ここに国府が存在したことを示唆しています。鎌倉時代中頃には、国府政庁跡を守るために安立寺が建立され、近世には南宮御旅神社が創建されるなど、この地域の重要性を示す由緒ある施設が多く存在しています。1957年には、府中村郷土研究会の見解を基に、この地域が美濃国府跡として町の史跡に指定されました。さらに、1971年には地理学者たちによって国府の領域に関する考察が行われました。

発掘調査の実施

美濃国府跡の発掘調査は、三重大学の協力を受けて垂井町教育委員会によって1991年から2003年にかけて行われました。この調査は13回にわたり実施され、国府の中心である政庁跡が発見されました。政庁跡の敷地は東西約67.2メートル、南北は最大で約73.5メートルであり、四角形に整備されています。その内部からは、正殿、正殿前の細長い建物である西脇殿と東脇殿の3棟が確認されました。これら3棟は最初は掘立柱建物で、奈良時代後半には礎石建物に改築されていたことも分かっています。

政庁跡の南側には朱雀路があり、東側には東方官衙地区が広がっています。また、発掘調査では硯や墨書土器など、当時の生活を思わせる貴重な遺物も多数出土しました。

各調査における発見も多岐にわたります。例えば、第1次調査では80㎡の面積で掘立柱建物跡と緑釉陶器片が出土し、その後の調査でも多くの遺構や遺物が確認されました。調査を通じて、国府跡の詳細な構造や当時の建物の痕跡が明らかになり、地域の歴史に新たな光を当てる結果となりました。

文化財としての価値

美濃国府跡は、国の史跡に指定されており、その指定面積は15,906.38㎡ですが、実に95%が民有地です。過去には、安立寺付近の地域が町の史跡に指定されていましたが、2007年には美濃国府伝承地と再指定されることとなりました。

このように、古代美濃国の歴史や文化を紐解く手がかりが多数存在し、訪れる人々にその重要性を伝えています。美濃国府跡は、地域の歴史を考えるうえでの貴重な場所となっています。

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