美濃娘

美濃娘（みのむすめ）

美濃娘は、岐阜県農業技術センターで育成されたイチゴの品種です。2007年に品種登録され、2021年時点では岐阜県内で栽培されるイチゴの約半分を占める、岐阜県を代表するイチゴとして知られています。また、業務用品種としても広く利用されています。

特徴

美濃娘は、円錐形で大粒な形状が特徴です。果皮は明るい赤色をしており、つやが良いのが特徴です。果肉は硬めで、果芯まで白い色をしています。空洞は中くらいの大きさです。味は甘味と酸味のバランスが良く、食味が優れています。

栽培においては、ジベレリン処理が必要となる点が挙げられます。また、炭疽病、萎黄病、うどんこ病に対する抵抗性がないため、注意が必要です。葉に苦土（マグネシウム）欠乏の症状が出やすいという特徴もあります。

開発の経緯

当時の岐阜県のイチゴ生産は、濃姫が6割を占めており、その他に女峰、とちおとめが栽培されていました。しかし、岐阜県のオリジナル品種1号である濃姫には、連続出蕾性に課題がありました。そのため、その対策と県内のイチゴ栽培面積の減少に対する振興策として、イチゴ品種の集約化が求められました。

そこで、女峰と宝交早生を交配した系統63-2-3（果形と食味が良く、果実が硬い）と、とよのかと濃姫を交配した系統3-31-3（果実が大型で食味も良く多収）に着目しました。系統63-2-3を子房親、系統3-31-3を花粉親として1997年に交配を行い、その中から選抜された系統9-4-3を有望株として、特性試験、作型適応性試験、現地適応性試験を実施しました。その結果、育種目標を満たすことが確認されたため、2004年3月に品種登録の出願を行い、2006年に品種登録されました。

美濃娘は、濃姫の課題を克服し、岐阜県のイチゴ生産を支える重要な品種となっています。

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