ジベレリン

ジベレリンとは

ジベレリン（Gibberellin、略称: GA）は、植物における成長を調節するホルモンの一群を指します。特に、細胞の伸長を促進し、種子の発芽や休眠打破、さらには老化の抑制に重要な役割を果たしています。また、オーキシンと呼ばれる別の植物ホルモンの作用も促進することが知られています。この物質は日本の技術者、黒沢英一により初めて発見され、その後、藪田貞治郎によって結晶化と構造解析が行われました。

発見の歴史

ジベレリンの起源は1898年にさかのぼります。馬鹿苗病という稲の病気の原因が、Gibberella fujikuroiというカビであることが判明しました。1926年には黒沢がこのカビの代謝物がイネの生長に及ぼす影響を発見し、1935年には藪田がそれを「ジベレリン」と名付けました。その後の研究で、1938年にはジベレリンが活性を持つものであることが明らかにされ、以降多くの種類が発見されています。現在では136種類以上が確認されており、GA1からGA136までの分類がされています。

生理的な役割

ジベレリンは基本的に次のような生理的機能を持っています。まず、伸長成長の促進です。これは細胞の微小管の配列を変更することによって実現されます。そして、農作物においては広く発芽促進や休眠打破に利用されています。この効果はアブシシン酸と拮抗する作用を持ち、その結果、種子のデンプンを分解しエネルギー供給を行います。また、花芽形成や開花を促進する作用もあり、さらには単為結実を促すこともできます。

化学的性質

ジベレリンは全てジテルペン酸であり、テルペノイド経路によって合成されます。化学構造は三環性で、特に炭素数が19であるものが多く、GA3（ジベレリン酸）などが代表的です。ジベレリンはその活性において重要なヒドロキシル基を持ち、特にGA3などは最も高い活性を示すことで知られています。

受容体と信号伝達

2005年に発見されたジベレリン受容体(GID1)は、GAが結合することでDELLAタンパク質を分解し、GA誘導遺伝子の転写を促進します。これにより植物は、成長や発芽のプロセスを開始します。

農業における応用

ジベレリンは農業においても重要な役割を果たしています。特に種無しブドウの生産には欠かせない存在となっています。例えば、ジベレリン水溶液を作り、ブドウの房をそれに浸漬することで、果実の成長を促進することができます。この処理法は非常に手間がかかりますが、結果として無核果を得ることができます。また、スギやヒノキなど樹木に対しても使用され、開花を促すことが可能です。

まとめ

総じて、ジベレリンは植物の成長に大きな影響を及ぼすホルモンです。農業や horticulture における実用性も高く、今後の研究によってさらなる応用が期待されています。

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