美濃市美濃町伝統的建造物群保存地区

美濃市美濃町伝統的建造物群保存地区：うだつの上がる町並みを歩く

美濃市美濃町伝統的建造物群保存地区は、岐阜県美濃市に位置し、その独特な景観から「うだつの上がる町並み」として広く知られています。この地区は、江戸時代からの歴史と文化を色濃く残す商家町として、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

歴史

この町並みの原型は、関ヶ原の戦いの後にこの地を与えられた金森長近によって江戸時代初期に作られました。その後、金森家が断絶したことで尾張藩の領地となり、美濃和紙の生産地として繁栄を遂げます。その富の象徴とも言える「うだつ」が、町並みの特徴的な景観を形成しました。

町割りは、一番町通りと二番町通りが4本の横町で結ばれる、整然とした目の字型となっています。この区画は、商売のしやすさと生活の便利さを考慮した、当時の人々の知恵の結晶と言えるでしょう。

1999年（平成11年）5月13日には、その歴史的・文化的価値が認められ、重要伝統的建造物群保存地区として選定されました。2003年（平成15年）には、景観を損ねる電線類の地中化が完了し、街灯を建物に直接設置することで電柱を排除し、より美しい町並みが実現しました。

2004年（平成16年）には、国土交通省による都市景観大賞「美しい町並み大賞」を受賞。2007年（平成19年）1月には、美しい日本の歴史的風土100選にも選定され、その価値は広く認められています。2009年（平成21年）3月には、旅行ガイドブック「グリーン・ミシュラン」にも掲載され、国内外からの注目度も高まっています。2010年（平成22年）6月には、岐阜県で第30回豊かな海づくり大会が開催された際、天皇・皇后が美濃市美濃町を視察されました。

みどころ

小坂家住宅: 国の重要文化財に指定されている、安永初期に建てられた造り酒屋です。屋根全面に「起り（むくり）」を持つ、美濃町を代表する町家建築で、その優美な曲線美は見る者を魅了します。
旧今井家住宅・美濃史料館: 美濃市指定有形文化財であるこの建物は、江戸中期に市内最大規模の商家（紙問屋）として栄えました。最も古いうだつ軒飾りの形式を持つことでも知られています。庭園にある水琴窟は、日本の音風景百選に選定されており、その音色に耳を傾けるのもおすすめです。奥の蔵には、「にわか」に関する展示があります。
町並みギャラリー・山田家住宅: 享保6年開業の町医者の家で、陶器製の防火水槽が残されています。現在は和紙ちぎり絵などのギャラリーとして活用されています。
うだつのある家々: 松久達三家、加藤家、平田家、大石家、梅村家、鈴木家、西尾家、古田家、松久家、渡辺家、旧武藤家、小坂家、古川家、岡専旅館、時代軒など、それぞれ異なる意匠のうだつを見ることができます。それぞれの家の歴史や特徴を想像しながら散策するのも楽しいでしょう。
美濃和紙あかりアート館: 美濃和紙のあかりアート作品を展示しており、和紙の持つ温かみと光の織りなす幻想的な世界を体験できます。

アクセス

長良川鉄道越美南線 美濃市駅から徒歩約10分
JR岐阜駅・名鉄岐阜駅から岐阜バス岐阜美濃線で美濃市駅まで約1時間
名鉄バスセンターから高速バス高速美濃・関 - 名古屋線で「うだつの町並み通り」停留所まで約2時間
* 東海北陸自動車道 美濃ICから車で約5分

美濃市美濃町伝統的建造物群保存地区は、歴史と文化が息づく、魅力的な町並みです。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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