群山空港

群山空港：韓国南西部の軍民共用空港

群山空港は、大韓民国全羅北道群山市に位置する軍民両用の空港です。ソウルから南西へ約240キロメートル、済州島へは空路でアクセスできる立地にあります。この空港は、アメリカ空軍の群山空軍基地と隣接しているという特殊な特徴を持っています。そのため、空港ターミナルと滑走路は別々に管理されており、軍用と民間の利用が明確に分離されています。

軍事拠点としての群山空港

群山空港は、太平洋空軍傘下のアメリカ第7空軍の主要基地の一つであり、烏山空軍基地と並ぶ重要な戦略拠点となっています。特に、F-16C戦闘機を装備する第8戦闘航空団（第35戦闘飛行隊、第80戦闘飛行隊）が駐留しており、対地攻撃と空対空戦闘の両方に対応できる能力を備えています。これらの部隊は、地域の安全保障に重要な役割を果たしています。

民間航空路線

軍事拠点としての役割に加え、群山空港は民間航空路線も運航しています。現在、大韓航空が済州島との間で1日1～2往復の旅客便を運航しており、地域住民の交通手段として機能しています。過去にはソウルや釜山への路線もあったものの、現在は運航されていません。軍民共用空港であるため、軍用機の運用状況などによって、民間便の運航に影響が出る可能性もあります。

歴史

群山空港の歴史は古く、1938年に日本軍が建設した航空基地にまで遡ります。第二次世界大戦後、アメリカ軍が接収し、当初は比較的小規模な連絡基地として利用されていました。しかし、1950年の朝鮮戦争勃発により、その役割は大きく変化します。戦争初期、北朝鮮軍に占領されるも、アメリカ軍によって奪還され、その後、大規模な拡張工事が行われました。朝鮮戦争中は、多くの航空部隊が展開し、重要な軍事拠点として機能しました。終戦後も、アメリカ空軍の部隊が駐留し続け、滑走路の延伸や施設の近代化が段階的に進められてきました。1974年には、タイ王国にあった第8戦闘航空団が群山基地に移駐し、現在に至っています。この間、プエブロ号事件など、国際情勢の変化に応じて基地の役割も変化してきました。

主要駐留部隊

群山空軍基地には、アメリカ空軍の主要部隊が多数駐留しています。

第7空軍 (7th AF)
第8戦闘航空団 (8th Fighter Wing)
第8作戦群 (8th Operations Group)
第35戦闘飛行隊 (35th Fighter Squadron)
第80戦闘飛行隊 (80th Fighter Squadron)
第8整備群 (8th Maintenance Group)
第8任務支援群 (8th Mission Support Group)
第8医療群 (8th Medical Group)

これらの部隊は、高度な軍事技術と訓練を受けた人員によって構成されており、地域の安定と安全保障に貢献しています。

まとめ

群山空港は、軍民共用空港として、軍事と民間航空の両面で重要な役割を果たす、歴史と戦略的な重要性を併せ持つ施設です。米軍基地としての歴史と、現在も続くアメリカ空軍の展開、そして、民間航空路線の運航は、この空港の多様な側面を示しています。今後も、韓国の南西部における重要な交通拠点、そして、地域の安全保障に貢献する軍事拠点としての役割を担い続けるでしょう。

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