義務教育 (台湾)

台湾の義務教育

台湾における義務教育は、国民の教育を受ける権利と義務を定めた重要な制度です。現在、台湾では小学校6年、中学校3年、および高等職業学校または職業訓練学校3年の合計12年間が義務教育とされています。この制度は、全ての子どもたちが基礎的な教育を受け、社会の一員として成長することを目的としています。

法的根拠

台湾の義務教育は、中華民国憲法によって保障されています。

中華民国憲法第21条: 「人民は国民教育を受ける権利と義務を有する」と明記され、教育を受ける権利が保障されています。
中華民国憲法第160条: 6歳から12歳までの学齢児童は、一律に基本教育を受けることが義務付けられ、授業料は免除されます。また、貧困家庭には教科書が無償で支給されます。学齢を超えて基礎教育を受けていない者に対しては、補習教育が提供され、同様に授業料免除と教科書の支給が行われます。

これらの憲法条項は、全ての子どもたちが教育を受ける機会を平等に享受できることを保証しています。

沿革

台湾の義務教育の歴史は、日本統治時代にまで遡ります。

1943年: 日本統治下で、台湾各地に設置されていた公学校が6年制の国民学校に改編されました。当時の就学率は70%を超え、非常に高い水準を記録しました。
1945年: 中華民国による統治が開始され、6歳から12歳までの学齢児童を対象とした義務教育制度が施行されました。当時の小学校教育機関は国民学校と呼ばれていました。中学校に進学するためには、初中聯考という選抜試験に合格する必要がありました。
1968年: 義務教育が9年間に延長されました。初級中学は国民中学（国中）と改称され、生徒数の増加に対応するため、多くの国中が新設されました。また、国民学校は国民小学と改称され、現在に至っています。

現況

現在の台湾では、『国民教育法』第2条により、6歳から15歳までの国民は国民教育を受けることが義務付けられています。この法律では、学齢を超えて国民教育を受けていない者に対する補習教育も規定されていますが、就学の義務は成文法で定められていません。

現在、台湾における中国語の文盲者の多くは高齢者であり、日本統治時代に教育を受けたため、中国語の理解が不十分な場合があります。

また、国中卒業者の94.7%が高級中学に進学している現状から、義務教育を12年間に延長する意見も出ています。12年制への延長を推進する意見の背景には、諸外国で義務教育が12年制であることが多いことや、台湾の国際的な学力を維持する必要性があります。

一方で、現在の9年制の義務教育においても、授業内容の単純化や体罰の問題など、未解決の課題が残っています。そのため、12年制への延長を急ぐべきではないとする慎重な意見も存在します。

2014年以降、6歳から17歳までの学齢児童の教育は無償化されています。

関係項目

義務教育

台湾の義務教育制度は、歴史的な変遷を経て現在の形に至っており、教育機会の平等と質の向上を目指して常に変化を続けています。今後の更なる発展が期待されます。

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