義天

義天（ぎてん）

義天（ぎてん）、またの名をウィチョン（의천、1055年9月28日 - 1101年10月5日）は、高麗時代の僧侶であり、朝鮮半島における天台宗の創始者として知られています。彼は大覚国師の諡号を持ち、名は王 煦といいます。義天の生涯は、仏教の発展とその思想の普及に尽力したものであり、彼の足跡は現在でも高麗仏教における重要な基盤として評価されています。

生い立ちと出家

義天は高麗王朝の文宗の第4子として生まれました。彼は非常に若くして出家を志し、11歳の時に文宗の叔父にあたる王師爛圓が滞在していた霊通寺にて仏教の修行を開始しました。義天は仏教のみならず、道教や儒学についても学び、その多方面にわたる知識が彼の後の思想形成に大きな影響を及ぼしました。彼は祐世僧統に任ぜられ、僧侶としての地位を確立しました。

宋への渡航と学び

1085年、義天は高麗の高僧として、臣下の反対を押し切って海路を経て中国の宋へと渡り、そこで哲宗から厚遇を受けました。この旅は、彼にとって重要な学びの機会となりました。義天は慧因寺の浄源のもとで華厳宗の教えを、慈弁従諫のもとでは天台宗の教義を学び、さらに霊芝元照から戒法、金山了元や慧林円照らに禅についての教えを受けました。彼の学びは3年に及び、その期間に得た知識と教えは後の彼の教えの基礎となりました。

帰国後の活動

帰国した義天は、数千巻にも及ぶ仏典や儒教の書物を持ちかえり、開城近郊の興王寺に教蔵都監を設置しました。また、新羅以来の仏教書を刊行し、宋、遼、日本からの貴重な仏教書も収集して『続蔵経』として編纂し、高麗の仏教の発展に寄与しました。このように、彼は仏教書の流通に力を注ぎ、多くの僧侶や信者に影響を与えました。

政治的な影響

義天の兄である粛宗の即位後、彼は天台宗の公認に貢献しました。その活動は単なる宗教にとどまらず、国政にも関与し、宋の貨幣経済に倣い鋳銭都監を設置しました。彼が鋳造させた「海東通宝」「三韓通宝」「海東重宝」は、当時の経済において重要な役割を果たしました。

著作物

義天は数多くの著書を残しており、彼の教えや学識を後世に伝える貴重な資料となっています。代表的な著作には『新編諸宗教蔵総録』（義天録）2巻、『円宗文類』22巻（そのうち2巻が現存）や『釈苑詞林』『大覚国師文集』『海東有本見行録（義天録）』などがあります。これらの著作は朝鮮仏教の研究にとって不可欠な資料として評価されています。

結論

義天の活動は高麗時代の仏教の発展に大きな影響を与え、彼の思想や教えは多くの人々に受け継がれました。彼の業績は、今日においても重要な宗教的及び文化的な遺産として存在しています。

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