羽倉崎検車区

羽倉崎検車区

南海電気鉄道の羽倉崎検車区（はぐらざきけんしゃく）は、大阪府泉佐野市にある同社南海本線系統の主要な車両基地の一つです。長年にわたり独立した検車区として運営されてきましたが、組織の再編を経て、現在は住ノ江検車区の一部門、「検車区羽倉崎検車」としてその機能を担っています。

概要

羽倉崎検車区は、南海本線の羽倉崎駅の南隣に広がる敷地に位置しています。駅の構造と密接に連携しており、特に難波方面からの列車が当検車区へ入庫する際には、羽倉崎駅の1番線を直接利用します。一方、和歌山市方面からの列車が入庫する場合は、2番線や3番線ホームからの渡り線を経由し、一度本線上で逆走する形で構内へ進入するという特徴的な運用が行われています。

この検車区には、検査や修繕の拠点である住ノ江検車区とは異なり、特定の編成が「所属」しているわけではありません。しかし、南海本線系統の運用において、列車が最も頻繁に入出庫を行う極めて重要な拠点であり、常に複数の予備編成が待機しています。その入出庫本数は全検車区の中で最も多いとされています。

沿革

羽倉崎検車区は、1955年8月23日に開設されました。その後、車両数の増加や運用の変化に対応するため、複数回にわたり拡張工事が実施されています。特に1973年には大規模な拡張工事が行われ、留置線が13線増設されるなど、収容能力が大幅に向上しました。

さらに、天下茶屋にあった工場が千代田へ移転したのに伴い、当検車区の機能も強化されました。1981年12月には車輪の形状を整えるための車輪転削場が新設され、この施設は1996年11月に床下型車輪旋盤式に更新され、より効率的な作業が可能となりました。また、1982年11月には、冷房装置などの大型機器の交換を伴う比較的軽微な修繕を行う随修検査場も新たに設けられました。この一連の機能強化の際に、留置線がさらに3線追加され、最大で170両もの車両を収容できる規模となりました。

組織面では変遷がありました。2000年には、当時の和歌山検車区の本区および紀の川線（現在の和歌山電鐵貴志川線）を担当していた伊太祁曽支区が当検車区に統合されました。しかし、2005年には、この羽倉崎検車区を含め、南海本線系統の検車組織がいずれも住ノ江検車区のもとに再統合され、現在に至る「住ノ江検車区羽倉崎検車」という位置づけになりました。

留置車両

当検車区に日常的に留置される車両は多岐にわたります。主に以下の形式が見られます。

2200系、2230系
7100系
9000系
1000系
2000系
8000系
* 8300系

特急「ラピート」に使用される50000系や、特急「サザン」に使用される10000系、12000系といった指定席特急車両は、通常は当検車区へは入線しません。しかし、車輪転削のような特定の検査や作業を行う際に稀に姿を見せ、一時的に留置されることもあります。また、2200系や2230系は、多奈川線での運用との関連から、夜間から早朝にかけて当検車区に留置されることが多くなっています。

関連する施設としては、南海本線の他の主要な車両基地である住ノ江検車区（現在の本区）、かつて統合された和歌山検車区（現在の住ノ江検車区和歌山出張場）、そして高野線系統の小原田検車区などが挙げられます。羽倉崎検車は、これらの施設と共に南海電気鉄道の車両運用を支える重要な役割を果たしています。

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