和歌山電鐵

和歌山電鐵株式会社について

和歌山電鐵株式会社（Wakayama Electric Railway Co., Ltd.）は、和歌山県和歌山市に本社を置き、貴志川線の運営を行っている鉄道事業者です。本社は、岡山電気軌道の完全子会社として設立され、両備グループの一員として地域密着型の鉄道サービスを目指しています。

設立の背景

2005年6月27日に岡山電気軌道の全額出資で設立され、2006年4月から南海電気鉄道から貴志川線の運行を引き継ぎました。社名は岡山電気軌道が一般公募を行い選ばれたもので、地域に根ざした名前として評価されています。社名の「鉄」は旧字体の「鐵」で表記されており、これは鉄道の基本に立ち返ることを示しています。

経営の理念

和歌山電鐵の経営理念は「日本一心豊かなローカル線になりたい」というもので、地域の声を反映させるために「貴志川線運営委員会」を設けています。この委員会は地元自治体や住民、学校関係者などで構成され、実際に現場の意見を運営に活かす役割を担っています。

ユニークな集客戦略

和歌山電鐵は「いちご電車」や「たま電車ミュージアム号」、さらには「うめ星電車」など、親しみやすいイベント列車を運行し、地域の魅力を発信しています。貴志駅や伊太祈曽駅に配置された猫の駅長も、訪問者にとっての話題のひとつとなっています。初代駅長「たま」は2015年に死亡しましたが、翌月からは「ニタマ」がその役目を受け継いでいます。

歴史と沿革

和歌山電鐵の起源は、2003年に南海が貴志川線の廃止を検討したことに遡ります。その後、多数の市民団体が存続運動を展開し、NHKの番組にも取り上げられるなど広がりを見せました。これに応じて設立された「貴志川線の未来をつくる会」は、6000人以上の会員を有するまでに成長し、存続に向けた活動を強化しました。

その後、運行事業者は公募され、岡山電気軌道が選ばれることとなります。2005年に設立された和歌山電鐵は、2006年4月に貴志川線の運行を開始しました。

主要路線とサービス

和歌山電鐵の主な路線である貴志川線は、和歌山駅から貴志駅までの14.3kmを結びます。営業開始時には南海から車両を譲り受け、以降は独自のカラーリングやデザインが施されています。2021年12月時点での運行車両には「たま電車」や「うめ星電車」などがあり、これらは両備グループのデザイン顧問、水戸岡鋭治が手掛けています。

特殊運賃やサービス

和歌山電鐡では、大人800円、小児400円の「貴志川線1日乗車券」を販売しており、これにより利用者は1日中乗り降り自由のサービスが受けられます。また、和歌山電鐵貴志川線ではヤマト運輸と提携して、宅配便の荷物輸送も行っており、地域に密着したサービスを展開しています。

今後の展望

親会社の岡山電気軌道は、新たに複合型施設内に「たまうどん」という和歌山電鐡にちなんだ店を開店するなど、地域活性化に向けた取り組みを進めています。地域に根ざしたサービスと独自のアイデアを大切にしながら、和歌山電鐵は今後も多くの人々に愛されるローカル線を目指しています。

もう一度検索