羽布ダム

羽布ダム（はぶダム）

羽布ダムは愛知県豊田市羽布町に位置し、矢作川水系の巴川に建設された重力式コンクリートダムです。このダムは、主に西三河地方の農業用水を安定供給する目的で造られ、1963年に完成しました。

設計と建設の背景

矢作川は古くから水量が豊富で、地域の水源として重視されてきました。しかし、明治時代の中頃からは大規模な農業用水の開発が進み、水の利用が増加する一方、1944年と1945年には大干ばつが発生し、農業に深刻な影響を与えました。このような状況に加え、下流の農家からは水不足に対する根本的な対策が求められました。そこで、農林省は矢作川の支流である巴川上流に農業用の利水ダムを建設することを決定しました。

1952年に建設が始まり、約11年の歳月をかけて1963年に完成しました。管理は1964年から愛知県西三河農林水産事務所に引き継がれ、以降も地域の水供給に重要な役割を果たしています。また、1997年以降は岡崎市の上水道供給にも利用されるようになりました。

観光名所としての発展

羽布ダムが完成した後、このダム湖は観光地としての発展が始まりました。地域住民が中心となって三河湖観光センターの前身が設立され、遊覧船やボートの運営も開始されました。1965年には愛知県知事により、このダム湖に「三河湖」という名前が付けられました。

1970年には三河湖一帯が愛知高原国定公園に指定され、さらなる観光振興が図られました。その後、1979年に下山村（現在の豊田市）が三河湖観光センターを整備し、村は観光施設の拡充を進めました。1996年には「香恋の館」が、1999年には「手づくり工房山遊里」が建設され、観光資源が増加しました。

2005年には三河湖がダム湖百選に選定され、地元の観光地としての認知度が高まりましたが、三河湖観光センターは1979年の完成後、老朽化が進行。2023年11月に一時閉鎖されることとなりました。しかし、2024年11月には新たに建て替えられた観光センターがリニューアルオープンする予定です。

まとめ

羽布ダムは、地域の農業用水の重要な供給源であり、観光名所としても評価されています。今後も、持続可能な水利用と観光振興を目指し、地域活性化に貢献していくことでしょう。

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