翔鶴丸

翔鶴丸について

翔鶴丸（しょうかく）は、幕末から明治時代にかけて重要な役割を果たした日本の運輸船兼軍艦です。艦名の「翔鶴」は、上空を舞う鶴を意味し、優雅さと強さを表しています。本艦は「日本海軍艦籍第2号」に該当し、その歴史的背景を知ることは、日本の軍事や海運の発展を理解するために重要です。

艦歴の概要

翔鶴丸の起源は1857年にさかのぼります。アメリカのニューヨークで建造された商船「ヤンチー」は、外輪式の木造蒸気船として初めて水上に出ました。1864年、幕府はこの船を145,000ドルで購入し、翔鶴丸と名付けて運輸船として運用しました。船体には若干の武装が施され、幕府海軍の一環として活躍しました。

翔鶴丸は、特に文久の時代に重要な役割を担いました。1864年の年末に、将軍徳川家茂の再上洛に利用されたほか、1865年には艦名が「丸」を省略され、「翔鶴」として軍艦に分類されました。これにより、艦の役割は運輸から軍事に移行しました。

フランス軍艦との関係

1864年8月、翔鶴丸は横浜で停泊中、フランス軍艦の乗員による修理を受けました。このときのフランス側の作業に対する誠実さから、幕府はフランス政府への信頼を深め、以降の親密な関係を築く基盤となりました。

対長州藩戦争での活動

慶応2年（1866年）、翔鶴は長州藩との戦闘に参戦し、大島口の戦いにおいて砲撃を行いました。具体的には、6月8日には大島を砲撃し、陸軍の攻撃を支援しました。しかし、戦況が不利になる中、6月19日には撤退を余儀なくされました。その後も戦闘に参加し、艦が有する能力が試されることとなります。

大坂湾の封鎖と明治政府の下での活躍

旧幕府と薩長藩との開戦前は、大坂湾にて兵庫港の封鎖に従事していました。最終的には、大政奉還後の1868年4月11日に、翔鶴は明治政府へ引き渡されました。その際、他の艦船と共に新政府のために活躍することになりました。

沈没とその後の影響

しかし明治政府下での運用も長くは続かず、1868年11月には、肥前藩の兵士を乗せたまま大阪から東京へ向かう途中、網代湾で沈没しました。これにより、翔鶴丸の艦生は終焉を迎えることになりましたが、その歴史は日本の海軍の発展における重要な要素となりました。

結論

翔鶴丸は、その名を木造蒸気船から軍艦へと転じた際の日本の海軍の一端を体現しています。幕末から明治にかけての動乱の中で果たした役割は、今なお日本の海運史、軍事史を語るうえで欠かせない存在となっています。

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