翼突管動脈

翼突管動脈（よくとつかんどうみゃく）

概要

翼突管動脈（artery of the pterygoid canal）は、人間の頭頸部領域に存在する動脈の一つです。この動脈は、学術的にはこの名称で呼ばれますが、一般的にVidian artery（ヴィディアン動脈）という別名でも広く知られています。Vidian arteryという名称は、16世紀のイタリアの解剖学者、ヴィドゥス・ヴィディウス（Vidus Vidius）にちなんで名付けられました。

起始と走行

翼突管動脈の起始は一定しておらず、主に二つのパターンが見られます。最も一般的なのは、外頸動脈から分岐する顎動脈の枝として発生するケースです。しかし、内頸動脈から直接起始する場合もあります。また、これらの主要な血管や周囲の他の血管との間で吻合を形成することもあります。

顎動脈からの派生

顎動脈から分岐した場合、翼突管動脈は翼突管と呼ばれる骨性の管の中を走行します。この際、翼突管神経などの他の神経や血管と並行して走ることが多いです。翼突管を通過した後、この動脈は咽頭の上部や耳管（ユースタキー管）といった構造に血液を供給します。最終的には、中咽頭に近い領域でその走行を終えます。さらに、鼓室と呼ばれる部位に小さな枝を送り、同じく鼓室へ向かう他の動脈と血管のネットワーク（吻合）を形成することが知られています。

内頸動脈からの派生

内頸動脈から直接分岐する場合、この枝は通常小さく、その存在や走行パターンは一定しません（不定枝）。この場合も、翼突管の中を通過しますが、顎動脈から派生する他の血管枝との間で吻合を形成することが主な特徴となります。

関連構造

翼突管動脈の解剖学的な理解において、翼突管内を共に走行する翼突管神経は重要な関連構造です。

出典

本記述は、主に歴史的な医学文献である『グレイ解剖学（Gray's Anatomy）』の第20版（1918年）568ページの記載に基づいています。この版の本文は現在パブリックドメインとなっています。

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*参考：medcyclopaedia.comのVidian arteryに関する情報など。

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