翼竜 (航空機)

GJ-1翼竜Iについて

GJ-1翼竜I（Wing Loong I）は、中国の成都飛機設計研究所が設計し、中国航空工業集団が生産する多機能無人航空機（ドローン）です。この無人機は偵察や攻撃、さらには信号情報収集や国境パトロールといった様々な用途に対応できるように開発されました。また、対テロや非致死的攻撃、麻薬密輸防止においても活用されています。2022年にはその進化版「翼竜III」が発表され、最大航続距離1万キロメートル、滞空時間40時間という驚異的な性能を持っています。

開発の経緯

GJ-1の開発は2004年に始まり、珠海エアショーで初めて公にされました。試作機は2007年10月に初飛行し、2014年の珠海エアショーでは、中国人民解放軍空軍のマーキングが施された機体が展示されました。これにより、GJ-1はその存在と能力を広く知られることになりました。

機体の構造

GJ-1のデザインは、流線形の胴体にバルジ部を持ち、衛星通信アンテナが搭載されています。その下にはEO/IRターレットが装備され、前輪式のランディングギアを採用しています。主翼は高アスペクト比のテーパー翼で中翼配置の設計がされており、V字配置の尾翼が特徴的です。また、推進方式はプッシャー式で、100hpのターボチャージャー付きピストンエンジンを1基搭載しています。3枚のプロペラを持ち、主翼のハードポイントには兵装用のパイロンが装着されています。

派生型

GJ-1にはいくつかの派生型が存在します。これには、翼竜I-D、翼竜II、翼竜III、翼竜10といったモデルがあり、それぞれ異なる特性と能力を持っています。

運用国

このドローンは、主に中国人民解放軍空軍によって運用されていますが、他にもカザフスタン、ウズベキスタン、パキスタン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、ナイジェリア、インドネシア、セルビア、モロッコなどの国にも配備されています。2023年現在、カザフスタンは2機のGJ-1を保有している情報があります。

実戦での利用

GJ-1は実戦での使用例も多く、2013年には日本の航空自衛隊が尖閣諸島近くに侵入してきた無人機の一部がGJ-1ではないかと見られるケースがあったと報じられています。さらに、2017年にはエジプトがシナイ半島での軍事作戦にGJ-1を用いてISILを攻撃しました。2018年にはUAEがこの無人機を使用し、イエメン内戦において重要な指導者を排除する成果を上げています。

2020年にはリビアでの紛争の中でGJ-1が使用され、23人の士官候補生が巻き込まれる悲劇もありました。こうした実戦での活躍により、GJ-1はその運用国にとって重要な防衛ツールとなっています。

仕様

• - 全長: 9.0m
• - 全高: 2.8m
• - 全幅: 14.0m
• - 最大離陸重量: 1,150kg
• - ペイロード: 200kg
• - 離陸滑走距離: 800m
• - 実用上昇限度: 7,500m
• - 最大速度: 280km/h
• - 航続時間: 20時間

また、GJ-1は50kgの爆弾や対戦車ミサイル、空対地ミサイルなど多彩な兵装を選択的に装備でき、戦術的な柔軟性を持っています。

まとめ

GJ-1翼竜Iは、中国の無人航空機技術の進展を象徴する存在であり、その多機能性と高い性能により、国内外でのさまざまな任務に利用されています。さらに進化を続けるGJ-1は、今後も注目されるでしょう。

もう一度検索