ハードポイント

ハードポイントとは

ハードポイントは、軍用機の胴体や主翼の下面に設置される構造部品で、主に兵器類を機外に搭載するための取り付け部です。これにより、航空機は様々な装備品を簡単に装着し、運用することが可能になります。具体的には、爆弾やミサイル、ロケット弾ポッド、ガンポッドなどの武器だけでなく、照準器や電子戦装置、さらには非戦闘用の装備品（例えばトラベルポッドやスモークポッド）をも搭載できます。

ハードポイントの構造と機能

ハードポイントは搭載物を支えるための要素であり、投下物や発射する武器については、それに必要な制御システムを接続するための端子が装備されています。また、ドロップタンクを取り付ける場合には燃料供給のための接続口も必要です。搭載する物の選択には重量制限、空気抵抗、機体の適合性、さらには火器管制システムとの互換性など、多くの要因が関与しており、これらの基準に合致する兵装の種類は限られています。

多くの機体では、ハードポイントが直接物を吊るのではなく、パイロンと呼ばれる支持部品を介して搭載します。このパイロンには、ミサイル用のレールランチャーや、複数の弾薬を装着可能なマルチ・イジェクターが設置されることもあります。これらを総称して、兵装支持架または兵器支持架と呼ぶことが一般的です。時には試験飛行や移送のために、パイロンを外すこともあります。

軍用機の設計と性能への影響

ハードポイントが多いことは、必要に応じて多くの兵器を搭載できるという利点があります。しかし、搭載物の大半は重いため、航空機の航続距離や速度、運動性能に対して負担をかける可能性があります。機体の構造も補強が必要となり、それに伴う重量の増加は取り外し不能です。そのため、固体翼の軍用固定翼機では、普通、左右対称に翼下に4～10箇所、胴体下面には1～6箇所のハードポイントが設けられているのが一般的です。

攻撃ヘリコプターにおいては、機体に特有の小翼部分がハードポイントとして利用されることがありますが、輸送や汎用のヘリコプターでは、兵装支持架に含まれない懸下用のフックやホイスト装置が設けられます。

ステルス戦闘機との関連

ステルス性を持つ戦闘機では、本来の能力を発揮するために外部に装備を搭載することが制限される場合が多いですが、これらの機体は通常、空中戦だけでなく、攻撃機としての機能も求められるマルチロール機のため、誘導爆弾などを機外に搭載するためのハードポイントを多数備える必要があります。

可変翼機の中には、主翼の後退角に応じてパイロンの向きを自動調整するハードポイントを持つ機種も存在しますが、構造的には大きな兵装を載せることが難しいため、主に軽量のミサイルやドロップタンクを装備する場面で利用されます。これらの要素を考慮すると、ハードポイントは軍用機の運用や戦術において非常に重要な役割を果たしています。

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