耀徳強制収容所

耀徳強制収容所の実態と歴史

耀徳強制収容所（ヨドクきょうせいしゅうようじょ）は、北朝鮮に属する政治犯収容所であり、正式には15号管理所と呼ばれています。この施設は、咸鏡南道永興郡の耀徳という地域に位置しています。北朝鮮には複数の政治犯収容所がありますが、耀徳はその中でも特に知られている存在です。これは、収容所規模の大きさに加え、囚人が釈放される可能性を持つ革命化区域が存在するためです。数少ない実際に釈放された囚人の証言もあり、その実態が明らかにされています。

設立と悪名高い収容環境

耀徳強制収容所は、1969年から1970年にかけて金日成の指示によって設立されたとされています。その教示に基づいて設立されたため、この収容所は政治犯を収容するための特別な施設です。政治犯といっても、単に国家に対する反逆者だけでなく、金日成やその一族を否定的に語る者、さらには他国の文化に接触した者もその対象となります。ここでは、「国家元首侮辱罪」として、様々な罪で収容されることになります。

収容者の実態

耀徳収容所には、1990年代には約3万人の囚人が収容されており、その多くが完璧に統制された区域に収容されています。食料不足や栄養失調、病気などから毎年多くの人々が命を落としていると報告されています。特に、革命化区域では脱出や食料の盗みといった「犯罪」に対する公開処刑が行われることも一般的です。

また、家族の中の一人が罪を犯した場合、その家族全体が収容されることがあります。女性囚人が妊娠した場合には強制的に中絶させられるという厳しい現実も存在します。収容所の外には高い壁と電気鉄条網が張り巡らされ、監視が厳重に行われているため、囚人の逃亡はほぼ不可能です。これらの実態を元に、囚人たちの多くがどれだけ厳しい環境で生活しているかが推測されます。

閉鎖の可能性と今後

耀徳強制収容所は過去の証言によると、2013年頃から革命化区域が撤去され、完全統制区域に変わったという報告があります。2014年には秘密裏に閉鎖が進められているとの見方も浮上しました。2025年までに閉鎖された可能性があるとされており、最近の衛星調査によれば、施設の一部が取り壊され、新しい建物も建設されている様子が確認されています。これにより、耀徳収容所が今後民間地域として再開発される可能性も指摘されています。

収監経験者の証言

耀徳収容所には多くの収監経験者が存在します。姜哲煥のように長期間にわたって収容された者たちは、その過酷な生活を語っています。彼は持病と栄養失調の中、脱北を試みたことがある証言者でもあります。同様に、李英国や金英順といった他の収監経験者もそれぞれの辛い経験を証言し、多くの人々がその現実を理解する手助けをしています。

まとめ

耀徳強制収容所は、北朝鮮の政治犯収容所の中でも特に有名で、過去の収容者たちからの証言がその恐ろしい実態を示しています。また、収容所の閉鎖が進む可能性があることから、その行く末が今後の人権問題に大きな影響を与えることでしょう。北朝鮮における人権状況は依然として厳しく、国際社会の関心が必要です。

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