咸鏡南道

咸鏡南道（ハムギョンナムド）

咸鏡南道は、北朝鮮の北東部に位置する重要な行政区で、周囲にはさまざまな道や日本海が接しています。南には江原道と日本海、北には両江道、西には平安南道と慈江道があり、自然景観は多彩です。また、摩天嶺山脈や赴戦嶺山脈、蓋馬高原などの高い山々がそびえ立ち、原始林が多く存在します。

地理と資源

この地域は水産資源が豊富で、新浦市では盛んな漁業が展開されています。さらに、蓋馬高原には日本の統治時代に建設されたダム湖があり、現在でも水力発電が行われています。端川市ではマグネサイトなど、地下資源も豊富に存在し、日本海沿岸には化学工業を中心とした工業地帯が広がっています。これらの要素が相まって、咸鏡南道は経済的にも重要な地域となっています。

歴史的背景

咸鏡南道の歴史は古代にさかのぼり、高句麗や渤海国の領域として発展しました。時代が進むにつれ、女真族や高麗王朝との抗争が繰り広げられ、李氏朝鮮の建国者・李成桂の出身地である永興がこの地域に位置しています。朝鮮王朝時代には、咸鏡道として朝鮮八道の一つに組み入れられました。

1896年には咸鏡道が南北に分割され、現在の咸鏡南道が成立しました。この地域の構成は、韓国併合後も維持され、当時は元山市周辺や両江道の一部を含む広範な地域をカバーしていました。1930年代になると、日窒コンツェルンが水力発電用ダムの建設に着手し、その電力を基に咸興や興南を中心に重工業が発展しました。

第二次世界大戦後、咸鏡南道は北朝鮮の領域に組み込まれました。朝鮮戦争では空爆を受け、多くの都市が破壊されましたが、その後、旧ソ連や東欧諸国からの支援を受けて復興を果たしました。近年では、2020年や2021年にも集中豪雨による災害が発生し、川の堤防が決壊するなどの被害が報告されています。この際、1,000戸以上の住宅が影響を受けました。

行政区分

咸鏡南道にはさまざまな自治体が存在し、主な市としては、咸興市（道都）、興南区域、新浦市、端川市などがあります。また、郡部には咸州郡、楽園郡、定平郡、金野郡、高原郡など多くの郡が存在しています。さらに、琴湖地区などの地区部もあり、地域ごとに独自の特色を持っています。

このように、咸鏡南道は豊かな自然環境、豊富な資源、長い歴史を抱えた地域として、多面的な魅力を持っています。

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