耀徳郡

耀徳郡（ヨドクぐん）

耀徳郡は、北朝鮮の咸鏡南道に属する行政区画であり、その存在は特に政治犯の強制収容所がある地域として知られています。この郡は、内部の政治情勢や人権問題が絡む複雑な背景を持っています。

地理

耀徳郡は咸鏡南道の南西部に位置し、泗水山（1747m）や白山（1724m）などの狼林山脈の雄大な山々に囲まれています。周囲の行政区画には、東側が金野郡と定平郡、南には水洞郡、西に平安南道の新陽郡や孟山郡、北側には同じく平安南道の寧遠郡や大興郡があります。また、東の端には東朝鮮湾が広がっており、自然環境は非常に多様です。

行政区画

耀徳郡は1邑および21里という区画に分かれており、これらの地域が地域住民の生活や行政機能を支えています。1945年には、永興郡に属していたこの地域は1952年の大規模な行政区画改編によって新たに耀徳郡として成立しました。

歴史

歴史的には、耀徳郡は朝鮮の戦後、特に1945年8月時点での永興郡の一部として存在していました。1952年12月には、郡面里の統廃合により新たに耀徳郡が設置され、その際には1邑と26里が形成されました。その後、いくつかの変遷を経て、現在の行政区画が定まることとなります。

交通

耀徳郡は交通網も整備されています。特に、平羅線が通っており、耀徳駅がその中心的な交通拠点として機能しています。この交通の利便性は、地域住民の生活に大きな影響を与えています。

強制収容所

この郡は特に第15号管理所として知られる政治犯の強制収容所があり、その存在は国際的にも大きな問題視されています。人権侵害の実態が取り上げられ、同管理所から出所後に韓国に亡命した証言者たちの証言によって、内部の状況が詳しく明らかにされています。政治的抑圧や人権侵害に関する問題は、特に日本人拉致事件等と共に北朝鮮の人権問題の重要な焦点となっています。

最近では、耀徳第15号管理所の人権侵害をテーマにしたミュージカル「耀徳ストーリー」やドキュメンタリー映画が制作され、問題の可視化が進んでいます。一方で、第15号管理所が解体されたという報道もあり、状況は常に変動しています。北朝鮮政府は公式には強制収容所の存在を否定していますが、アムネスティ・インターナショナルの調査では、2001年以降その規模が大幅に拡大していることが指摘されています。

総括

耀徳郡は、政治的・社会的な問題が交錯する地域であり、歴史的背景と現状を知ることは非常に重要です。地理的に自然に囲まれながらも、人権問題が絡む場所としての課題を抱えるこの郡の現実は、多くの人々にその実態を理解してもらう必要があります。

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