老子の真珠

老子の真珠（アラーの真珠）について

老子の真珠、またはアラーの真珠として知られるこの巨大な真珠は、世界最大級の真珠としてその名を知られています。直径は約24センチメートル、重さは驚異の6.4キログラムにも達します。

真珠の種類と特徴

この真珠は、厳密には真珠層を持たないオオシャコガイによって生成されたクラム真珠（真珠様物質）の一種です。その材質は磁器に近く、通常の真珠とは異なる性質を持っています。オオシャコガイは、その巨大な体躯ゆえに、このような巨大な真珠様物質を生成することが可能です。

歴史

発見と初期の紹介

この真珠の最初の所有者はアメリカ人のウィルバーン・カブでした。彼は1939年に雑誌『Natural History』でこの真珠を「アラーの真珠」として紹介しました。カブの説明によると、彼は1934年にこの真珠の存在を知り、所有者であるフィリピンの族長から購入しようと試みましたが、その時は実現しませんでした。その後、1936年に族長の息子をマラリアから救った謝礼として、この真珠を譲り受けたとされています。

1939年には、アメリカの珍品博物館『Ripley's Believe It or Not!（リプリーの信じる？信じない？）』で350万ドルの価値があると評価され、公開されました。

その後の所有者と伝説

カブはこの真珠をその後30年間公開しませんでした。1969年2月、メンサの年報で「老子の真珠」として再び紹介されました。この際、リプリー博物館での展示中にリーと名乗る中国人が現れ、カブに次のような伝説を語ったとされています。「この真珠は2500年前、老子が死の直前に弟子に命じ、仏陀、孔子、そして老子自身を彫刻した翡翠の核を貝に埋め込んで作らせた。弟子は4年後にそれを取り出し、さらに大きな貝に移した。この真珠は1750年に戦禍を避けて安全な場所に輸送中、嵐で失われた。展示されている真珠はそれであるに違いないので、350万ドルで譲ってほしい。」しかし、カブはこの申し出を断り、リーとは二度と会うことはありませんでした。

現在の状況

カブが1980年に亡くなった後、この真珠はピーター・ホフマンとビクター・バービシュに少なくとも20万ドルで譲渡されました。バービシュがジョセフ・ボニセリからの借金に関連して、1990年に裁判が行われ、裁判所はこの真珠の所有権がホフマン、バービシュ、ボニセリに等しく帰属すると結論付けました。

現在、この真珠は一般公開されていません。

価値について

カブは「老子の真珠」を老子が作らせたと説明していましたが、真珠の人工生産ははるか後世に始まったと考えられており、この伝説は信じがたいとされています。しかし、1990年の裁判では、この伝説も真珠の価値を評価する上で考慮されました。

専門家による評価

1982年には、コロラドスプリングスの宝石商ミヒャエル・スティーンロッドが6千万ドル、サンフランシスコのSan Francisco Gem Labのリー・スパロウが4千2百万ドルと評価しています。スティーンロッドは2007年には9千3百万ドルと評価額を上げています。

真珠様物質の分類

米国宝石学会（GIA）や国際貴金属宝飾品連盟（CIBJO）は、この真珠様物質を単に「真珠」、または「非真珠層の真珠」として扱っています。連邦取引委員会も、軟体動物が作り出した真珠様物質は一律「真珠」として扱うことが多いです。

参考文献

外部リンク Bottom half of clam shell on display in Brooke's Point, Palawan.
Famous pearls

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