耆齢

耆齢（きれい、チリン、Qiling、生年不詳 - 1863年）は、清朝末期の官僚であり、字を九峰と称しました。満州正黄旗の出身で、そのキャリアは工部の筆帖式、すなわち満州語と中国語の翻訳官として始まりました。1837年に挙人となり、その後、刑部主事、郎中といった官職を歴任しました。

その後、彼は地方官として江西省各地の知府を歴任し、その行政手腕を発揮しました。1853年には、太平天国軍が南昌を攻撃した際、防衛に奔走し、その勇猛さを示しました。1855年には、吉南贛寧道へと昇進し、太平天国軍が義寧を攻撃した際には、救援に駆けつけました。1856年には、江西布政使に昇進し、饒州に駐屯してその職務を全うしました。

彼の働きぶりは、曽国藩に高く評価され、1857年には江西巡撫に任命されました。当時、江西省の大部分は太平天国軍の手に落ちており、清朝の支配下には南昌や贛州といった数郡しか残されていませんでした。耆齢は、曽国藩が率いる湘軍と協力し、太平天国軍との激しい戦いを繰り広げました。その結果、1859年までに江西省全域を奪回することに成功しました。

その後、耆齢は広東巡撫に異動し、広東省に侵入してきた太平天国軍の撃退に当たりました。1862年には、閩浙総督に任命され、福建省から浙江省へと進軍し、浙江省東部の平定に尽力しました。しかし、1863年、福州将軍に転任した直後に死去しました。その功績を称え、恪慎の諡号が贈られました。

耆齢は、清朝末期の動乱期において、その能力と忠誠心をもって国に尽くした人物であり、太平天国軍との戦いにおいて、卓越した軍事指揮能力を発揮し、清朝の安定に大きく貢献しました。彼の生涯は、清朝末期の歴史を語る上で欠かせないものとなっています。

出典は、『清史稿』巻427・列伝214に詳しい記述が残されています。

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