耳取遺跡

耳取遺跡（みみとりいせき）

耳取遺跡は、新潟県見附市熱田町に位置する縄文時代の環状集落の遺跡です。通称「耳取山」と呼ばれる丘陵頂部に広がるこの遺跡は、2015年に国の史跡として指定され、2018年には指定区域が追加されました。

位置・概要

見附市街地から南へ約2キロメートル、標高70～77メートルの丘陵頂上に約5万平方メートルの平坦地が広がります。この地に縄文時代の集落が営まれていました。遺跡の存在は明治時代から知られていましたが、1967年の初の学術的な発掘調査によって、縄文時代中期から晩期にかけての集落遺跡であることが確認されました。その後、開発計画が持ち上がったことから、2011年から2014年にかけて再度の発掘調査が実施され、遺跡の中央部に縄文中期中葉、西側に後期前葉、東側に晩期後葉の遺構が位置していることが判明しました。

史跡指定地は、2018年の追加指定分を含め、39,418.68平方メートルに及びます。

遺構

概観

耳取遺跡では、縄文中期中葉、後期前葉、晩期後葉の遺構が確認されています。縄文中期・後期・晩期の3期にわたる遺跡は北陸地方では珍しく、特に後期集落跡の面積は約16,000平方メートルと、北陸地方最大級の規模を誇ります。一つの遺跡の中で、これほど長期間にわたる遺構が確認され、しかも各期の遺構が少しずつ場所を違えて存在するという例は、北陸地方のみならず、日本全国でも稀なケースです。

縄文中期の遺構

遺跡中央の平坦地には、中期中葉を中心とする集落遺構があります。集落の規模は南北約60メートル、東西約70メートルで、南西方向が開いた馬蹄形をしています。竪穴建物跡が13軒検出され、うち8軒が中期中葉、3軒が中期後葉、残る2軒は時期が不明です。建物跡に伴う炉は、土器埋設石囲炉2基、土器敷石囲炉1基（以上中期中葉）、複式炉とみられるもの3基、地床炉または石囲炉1基（以上中期後葉）となっています。中期の遺物としては、土器のほかに硬玉製の小珠1個、大珠2個が出土しています。

縄文後期の遺構

遺跡中央の平坦地から西側の緩斜面にかけて、後期前葉を中心とする集落遺構があります。南北約200メートル、東西約120メートルの環状集落で、中心には27×20メートルほどの広場があります。後期の遺構としては、長方形平面の掘立柱建物跡42軒、楕円形建物跡24軒が検出されています。広場の南東隅からは、方一間（柱間が正面・側面とも1間）で、長軸140～150センチメートルの柱穴を有する建物跡が検出されており、住居というよりは、何らかのシンボル的な建物と考えられています。集落の北端、東端、広場の南端には、墓域と断定はできませんが、人骨が散乱する区域があります。

縄文晩期の遺構

遺跡東側の緩斜面には、晩期後葉を中心とする集落があります。南北約80メートル、東西約70メートルの環状集落で、中心に30×20メートルほどの広場があります。2016年の再調査の結果、亀甲形、五角形、長方形および落棟式の掘立柱建物跡が計55軒検出されました。縄文晩期の集落で、掘立柱建物のみから構成されるものは、日本全国でも珍しい例です。

まとめ

耳取遺跡は、縄文時代中期から晩期にかけての集落の変遷を知ることができる貴重な遺跡です。特に、北陸地方最大級の後期環状集落や、晩期の掘立柱建物のみで構成される集落は、全国的にも珍しい特徴を持っています。今後の調査によって、さらなる発見が期待されます。

参考文献
見附市教育委員会『国史跡耳取遺跡保存活用計画書』見附市教育委員会、2018年。

関連項目
縄文時代の遺跡一覧
藤橋遺跡 - 近隣の縄文時代遺跡

外部リンク
見附市'>耳取遺跡 - 見附市
* 文化庁'>耳取遺跡 - 文化遺産オンライン（文化庁）

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