耶律収国奴

耶律収国奴（やりつ しゅうこくぬ）

耶律収国奴（1215年 - 1259年）は、モンゴル帝国に仕えた契丹人であり、東遼を建国した耶律留哥の孫にあたります。

生涯

耶律収国奴は、金朝末期に自立し東遼を建国した耶律留哥の嫡子、耶律薛闍（セチェ）の子として生まれました。父の薛闍は早くから人質（トルカク）としてモンゴル軍に属し東遼を離れていたため、収国奴は祖父母のもとで養育されました。

1226年（丙戌）、収国奴は母と共に西征から帰還したチンギス・カンのもとを訪れました。この時、父の耶律薛闍が本国（東遼）に戻る代わりに、叔父の耶律善哥と従叔父の耶律塔塔児がモンゴル軍に仕えることになりました。その後、父の薛闍が亡くなると、その地位を継承し、広寧府路総管軍民万戸府の地位を授けられ、石剌（シラ）と改名しました。

石剌（耶律収国奴）は主に高麗への侵攻で活躍しました。1251年（辛亥）には、三代にわたりモンゴルのために尽くした功績が称えられ、新たに作り直された虎符を与えられました。当時、収国奴はイェグが率いる高麗侵攻軍に属していましたが、1259年（己未）に45歳で亡くなりました。

耶律収国奴は、東遼の血を引く者としてモンゴル帝国に忠誠を尽くし、軍事面で貢献した人物として知られています。彼の生涯は、モンゴル帝国の拡大と東アジアにおける勢力確立の過程を理解する上で重要な事例の一つと言えるでしょう。

参考文献

池内宏「金末の満洲」『満鮮史研究 中世第一冊』荻原星文館、1943年
蓮見節「『集史』左翼軍の構成と木華黎左翼軍の編制問題」『中央大学アジア史研究』第12号、1988年
松田孝一「モンゴル帝国東部国境の探馬赤軍団」『内陸アジア史研究』第7/8合併号、1992年
『元史』巻149列伝36耶律留哥伝
『新元史』巻134列伝31耶律留哥伝
『蒙兀児史記』巻31列伝13耶律留哥伝

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