東遼

東遼（1213年 - 1227年）

東遼は、金代に中国東北部を中心に存在した地方政権です。金の支配下にあった遼の宗室、耶律留哥が反乱を起こし、モンゴルの支援を受けて自立しました。

建国

1212年、隆安・韓州一帯で耶律留哥が金の支配に対して反旗を翻しました。同族の耶律耶的の軍と合流し、その勢力は数ヶ月で十数万に膨れ上がります。モンゴル帝国の庇護を受け、金からの自立を宣言しました。金は完顔胡沙と蒲鮮万奴に耶律留哥の討伐を命じますが、耶律留哥はモンゴルに救援を要請し、一部モンゴル軍の支援を受け、迪吉脳児（現在の遼寧省鉄嶺市昌図県付近）で金軍を打ち破りました。

1213年3月、耶律留哥は王を称し、国号を遼と定め、元統と改元しました。これが後に東遼と呼ばれる政権です。耶律留哥は姚里氏を皇后とし、弟の耶律廝不を郡王に、耶律坡沙・耶律僧家奴・耶律耶的・耶律李家奴らを丞相・元帥・尚書に任命し、建国後の体制を固めました。1214年、金は再び蒲鮮万奴の軍を侵入させましたが、これも帰仁の北河で撃破し、さらに遼東の州郡を占拠し、都を咸平に定め中京と称しました。

国内状況

東遼国内の制度については、文献資料が乏しく、その大部分が不明です。1213年の建国時に皇后や郡王、丞相、元帥、尚書といった官職名が登場することから、金の国家制度を模倣したものであったと推測されています。

後遼との対立

1215年、金の東京（遼陽府）を平定した耶律留哥は、周囲から帝号を推戴されますが、これを拒否します。しかし、密かに子の耶律薛闍をモンゴルのチンギス・カンに派遣し、遼王に封じられています。チンギス・カンは、耶律留哥の副手である耶律可特哥が蒲鮮万奴の妻である李僊娥を娶っていることに不満を抱き、問責を検討しました。この情報を察知した耶律可特哥は、自身の地位に不安を抱き、耶律廝不らと共謀して耶律留哥がすでに死亡したと発表し、反乱を起こし、後遼政権を樹立しました。

政権後期

1218年、耶律留哥はモンゴルや高麗の支援を受けて後遼を攻撃します。1219年春には耶律喊舎を打ち破り、耶律留哥は旧地を再び勢力下に置きました。1220年、耶律留哥が死去しますが、その後モンゴルはその妻である姚里氏に7年間この地を統治させました。

歴代国王

耶律留哥：1213年 - 1220年（1215年 - 1219年は失地）
皇后姚里氏：1220年 - 1227年

東遼は、短期間ながらも遼の復興を夢見た政権でしたが、内部対立や周辺国の思惑に翻弄され、その歴史は幕を閉じました。

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