耿再成

耿再成（こう さいせい、生年不詳 - 1362年）は、元末の動乱期に活躍した軍人です。字は徳甫といい、泗州五河県（現在の安徽省蚌埠市五河県）の出身です。彼は早くから朱元璋に仕え、その勢力拡大に大きく貢献しました。その武勇と忠誠心は、朱元璋軍にとってなくてはならない存在でした。

生涯

耿再成は、早い段階から朱元璋の旗下に加わりました。至正13年（1353年）には、定遠攻略に参加した24将の一人として名を連ねています。翌年の至正14年（1354年）には、朱元璋軍と元軍が六合で激突しました。この戦いで、耿再成は瓦梁塁において奮戦し、元軍を退けるという武功を上げました。元軍が再び攻勢をかけてきた際、朱元璋は伏兵を率いて迎え撃つ作戦を立てました。耿再成は、元軍を伏兵の位置まで誘い込む重要な役割を担い、この戦いを勝利に導きました。

その後、耿再成は鎮江の守備を任され、枢密院判官として長興、さらには揚州の防衛にも尽力しました。彼は前鋒として黄龍山で敵軍を抑え込み、その勢いのまま金華を攻略するなど、各地で目覚ましい活躍を見せました。

耿再成の軍は、その軍規の厳正さで知られていました。この規律正しさに民衆は安心し、彼らのために野菜や果実を寄付するほどでした。その人柄と軍の統率力は、民からの信頼も厚かったことが伺えます。

また、耿再成は胡大海と共に、石抹宜孫を処州で破るという戦果も挙げています。石抹宜孫が再び攻めてきた際には、慶元で戦い、これを打ち破りました。

至正22年（1362年）、処州で苗族の蔣英らが反乱を起こし、胡大海を殺害するという事件が発生しました。この報を聞いた他の苗族も次々と反旗を翻し、事態は急展開を迎えました。耿再成は、わずか20人余りの兵を率いて反乱軍に立ち向かいました。剣を振るい、激しく戦いましたが、ついに手傷を負い落馬してしまいました。それでもなお、耿再成は敵を罵倒し続け、その勇敢な姿を見せながらも、無念にも戦死しました。彼の遺体は、胡深らによって収容され、手厚く弔われました。

その功績を称え、耿再成は高陽郡公に追封されました。さらに、洪武10年（1377年）には、泗国公が贈られ、武壮という諡号が贈られました。彼の肖像は、功臣廟に奉られ、その武勇と功績は後世にまで語り継がれています。耿再成は、その生涯を通して朱元璋の覇業を支え、その忠義心と武勇は多くの人々に感銘を与えました。彼の名は、歴史にその名を深く刻んでいます。

耿再成は、元末の混乱期に現れた傑出した武将の一人であり、彼の活躍は、朱元璋による明朝建国を語る上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。その生涯は、まさに武人としての生き様を体現したものであり、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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