聖トマス大学

聖トマス大学の概要と沿革

聖トマス大学（せいトマスだいがく）は、兵庫県尼崎市にかつて存在した私立大学であり、1963年に設立され、2015年に廃校となりました。この大学の創設の背景には、カトリック大阪大司教区の支援があり、国内では唯一のカトリック教区立大学であったことが特徴です。また、近畿圏において唯一の男女共学のカトリック大学でもありました。

大学の名称変更

大学は設立当初「英知大学」という名称でしたが、2007年に「聖トマス大学」へと改称されました。この変更の背景には、カトリック系大学の国際組織「聖トマス・アクィナス大学国際協議会」に正会員として加入するために、名称に「聖トマス」の名を組み入れる必要があったためです。さらに、名称変更の過程で、旧名称の語感が不適切であったことも影響しています。

大学の学部と教育内容

聖トマス大学は設立当初、神学部のみでしたが、後に文学部を設置し、1996年には大学院を新設しました。最終的には人間文化共生学部が主要な学部として残り、その下に多文化共生学科や人間発達科学科が設けられていました。この学部では幼稚園と小学校の教員免許状を取得することが可能でした。

学校の閉鎖とその後

2010年には生徒募集が停止され、大学の存続が危ぶまれることとなりました。翌年からは、新たな教育課程や学部の設立が試みられましたが、文部科学省による認可が下りず、2015年に正式に閉校することとなりました。その際、大学が保有していた施設の一部は、近隣の百合学院や尼崎市に寄付または売却されることが決まりました。2019年には、旧校舎を利用した「尼崎市立ユース交流センター」が開設され、新たな教育的取り組みが行われています。

大学の理念

聖トマス大学の建学の精神は、「真理に至る英知と力を備え、自立した人間を養成する」というもので、カトリックの教えに基づいた教育を根底に持っていました。

同窓会と大学の影響

同大学の同窓会は「サピエンチア会」と名付けられ、旧英知大学との関係も維持されていました。また、聖トマス大学は南山[[大学]]や上智[[大学]]との学術的な交流も続けていました。

影響を受けた地元社会

聖トマス大学周辺では「英知大学賞」という競馬レースの賞が設けられていましたが、名称変更に伴い4年で廃止されました。また、地元においては、日本グリーフケア研究所の設立が評価され、研究活動を通じて地域社会に貢献していました。この研究所は後に上智[[大学]]に移管され、今も続いています。

このように、聖トマス大学はカトリック精神に基づく教育を提供しつつ、地域社会とのつながりを大切にしていた大学でしたが、様々な事情によりその幕を下ろすこととなりました。

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