聖ヴェロニカ

聖ヴェロニカ（Veronica）は、生没年が不明ながら、カトリック教会および正教会で聖人として崇敬されている人物です。彼女の祝日は7月12日と2月4日に定められています。

彼女に関する最も有名な伝承では、ヴェロニカはベレニケ（Berenice）とも呼ばれ、エルサレムに住む非常に敬虔な女性であったとされています。キリストが十字架を背負い、ゴルゴタの丘へと向かう苦難の道中、彼女はキリストの疲労困憊した姿を深く憐れみ、自身の身に着けていたヴェールを差し出して、額の汗を拭うように勧めました。キリストはヴェロニカの申し出を受け入れ、そのヴェールで汗を拭った後、ヴェールを彼女に返しました。

すると、この瞬間、奇跡が起こりました。ヴェールには、キリストの顔が鮮明に浮かび上がっていたのです。この奇跡的な出来事から、ヴェロニカは聖顔布を持つ聖人として、美術作品や彫刻でしばしば描かれるようになりました。これらの作品において、彼女はしばしば、キリストの顔が転写されたヴェールである聖顔布を持っている姿で表現されます。

この伝承は、ヴェロニカの深い信仰心と、キリストへの同情心が、神の奇跡を引き起こしたと解釈されています。彼女の物語は、キリスト教における慈悲と信仰の重要性を示す象徴として、多くの人々に語り継がれています。

聖ヴェロニカは、単にキリストの汗を拭ったというだけでなく、キリストの顔を永遠に記憶にとどめるという、より深い意味を持つ奇跡を成し遂げたとされています。彼女が持つ聖顔布は、キリストの受難を象徴する重要な遺物とみなされ、多くの信者にとって敬意の対象となっています。また、この聖顔布は、キリストの聖顔を忠実に再現したものとして、芸術作品のモデルにもなっています。

関連項目

自印聖像
聖骸布

外部リンク

Righteous Veronica - HOLY TRINITY RUSSIAN ORTHODOX CHURCH - Orthodox Calendar内のページ（英語）
ハリストスの自印聖像 - ウェイバックマシン - 大阪ハリストス正教会内のページ（日本語） (2004年8月17日アーカイブ分)

聖ヴェロニカの物語は、信仰、慈悲、そして奇跡の力を象徴する、キリスト教の重要な逸話として、今日に至るまで人々に語り継がれています。

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