聖宗 (遼)

聖宗（せいそう）

聖宗は契丹（遼）帝国の第6代皇帝で、諱は文殊奴（ぶんしゅど）です。彼は契丹の歴史において最も知恵と勇気を兼ね備えた名君として評価されています。彼の治世は、国家の安定と発展に貢献した重要な時代とされています。

生涯

聖宗は第5代皇帝の景宗の長男として生まれ、わずか12歳で即位しました。彼は997年に国号を「大遼」から「大契丹」に変更し、新しい時代の幕開けを告げました。彼の治世の初めは母の承天皇太后（睿智皇后蕭綽）や、父の代からの重臣たちによる体制で運営されていましたが、母の死後の1009年以降は自らの手で国を治める親政を開始しました。

聖宗はその後、東方の女真族、西方の西夏と連携し、西域のウイグル諸国に対して力を発揮しました。特に、統和22年（1004年）には大軍を編成し、北宋領の黄河近くに侵攻しました。この戦役では、宋の真宗皇帝が率いる軍と接触し、両軍は黄河を挟んで対峙しましたが、戦闘は長引き、結局互いに撤退を余儀なくされました。この出来事は「澶淵の盟」として知られ、契丹は北宋に対して「兄事する」立場となり、毎年贈り物を受ける関係が確立しました。

また、聖宗は高麗との関係においても功績を残しました。高麗とは北宋との断交を取り決め、契丹の年号を使用することを認めさせましたが、見返りとして江東6州を高麗に割譲することとなりました。その後、江東6州を奪還するための軍事行動を試みましたが、1018年には高麗の名将姜邯賛に大敗し、侵攻を断念しました。最終的に1020年には両国で和平が結ばれ、高麗が江東6州を所有することを認められましたが、再び契丹の年号を使用し、契丹への冊封を受けることになりました。

聖宗の治世の後半については、国内の内政と軍事の組織化に大いに尽力し、中央集権化を進めました。この結果、契丹は国力が充実し、その後の興宗・道宗の時代にわたって全盛を保つこととなりました。聖宗は太平11年（1031年）に61歳で彼の生涯を終え、その後は長男の只骨が皇位を継承しました。

聖宗の陵墓は、現在の慶州附近に位置しています。彼の中央集権化政策により、契丹は長らく繁栄し続ける道を歩んだのです。

宗室と后妃

聖宗には多くの后妃が存在しました。正室には仁徳蕭皇后と欽哀蕭皇后がおり、側室には李宗妃、蕭貴妃などがいました。子供たちには皇位を継承した耶律只骨（興宗）や、他の王族たちがいました。特に彼の子供たちは重要な歴史的役割を担い、契丹の継続的な発展に寄与しています。

聖宗の影響は、その後の世代にも引き継がれ、彼が築いた基盤の上に契丹はさらに強大な国家へと成長していったのです。

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