聖川丸 (特設水上機母艦)

聖川丸について

聖川丸（きよかわまる）は、川崎汽船が運営する神川丸型貨物船の二番船にあたります。この船は太平洋戦争中、特設水上機母艦および特設運送艦として活躍しました。戦争末期には損傷を受けて沈没したものの、その後の復旧作業によって再び貨物船として利用されることとなりました。

船歴と初期の運用

聖川丸の船名は当初「清川丸」と予定されていましたが、「清」を「聖」に変えることに決まりました。この変更は「神聖君國」の意義を考慮した結果です。1935年に川崎造船所で竣工し、処女航海では横浜とサンフランシスコを最短記録で往復しました。この船はその後の8月12日に宇高連絡船との衝突事故を起こし、相手船を沈没させるという事件も発生しました。

1941年9月28日、聖川丸は日本海軍に徴傭され、特設水上機母艦として正式に入籍しました。艤装工事は横須賀海軍工廠で行われ、11月15日に完了します。その後、開戦初期のグアム攻略戦に参加し、12月にはウェーク島攻略作戦にも従事しました。搭載機による偵察攻撃が任務の中心でした。

戦争中の活躍と損傷

1942年に入ると、聖川丸はラバウル攻略作戦やその他の作戦にも参加しましたが、その途中でアメリカ軍の攻撃を受けて損傷しました。1943年からは南西方面艦隊に属し、セレベス島での運送任務に従事していました。1944年4月にはダバオからの輸送任務中に駆逐艦「秋雲」と接触し、アメリカの潜水艦に攻撃されるという事態にも直面します。

戦後の復旧と商船としての活動

戦後、聖川丸は沈没した後に連合国軍によって引き揚げ許可が出され、1948年に復旧作業が開始されました。引き揚げ作業は川崎重工業によって行われ、1949年に本格的な修理が完了します。復旧後、聖川丸は貨物輸送を再開し、フィリピンやバンコク、シンガポールへの航海に出かけました。

1950年には民営に戻り、北米航路も再開されました。SNSでも聖川丸はシアトル航路で運航し、その後再びニューヨーク航路にも加わることになります。これにより、聖川丸は戦後の日本の海上輸送の重要な役割を果たしました。

最終的には1969年に台湾の船主に売却され、その後解体されることとなります。聖川丸はその長い航歴の中で戦時の特設艦としての顔と、新たに貨物船として復活した姿の両面を持つ、歴史的価値のある船なのです。

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