聖心侍女修道会

聖心侍女修道会について

聖心侍女修道会は1877年にスペインのマドリードで設立されたキリスト教カトリックの女子修道会であり、そのラテン名は「Ancillae Sacratissimi Cordis Iesu」で、略してA.C.I. Sistersとも呼ばれています。総本部はローマにあり、21世紀初頭の時点で世界の21か国に143の修道院と55の教育施設を展開しています。この修道会は国際的な視野を持ちながらも、地域に根ざした教育および社会活動を行うことを目的としています。2007年には、修道会の会員数は1560名に達していました。

創立者とその理念

この修道会の創立者であるラファエラ・マリア・ポラス（Rafaela Porras y Ayllón）は、1850年に南スペインのコルドバ近郊に生まれました。幼少期には父親を、19歳の時には母親を失い、大きな逆境の中で成長しました。彼女は1875年に姉とともに償いのマリア修道女会に入会し、その活動を通じて人間性の回復に向けた教育と社会貢献の重要性を深く学びました。

1877年にラファエラは姉ドロレスと共に、イエスの聖心の償い会を設立しました。これは、後に聖心侍女修道会となる組織の母体です。彼女たちの活動は特にトレドの大司教によって許可され、ラファエラは創立から1893年まで会長を務めました。彼女は1925年に亡くなり、1952年にはカトリック教会によって福者として認められ、1977年には聖人として列聖されました。彼女の遺した精神は、現在も聖心侍女修道会の活動に生き続けています。

世界中での活動

聖心侍女修道会は、世界各地で教育や社会貢献に熱心に取り組んでいます。2001年末の時点で、1437名の修道女が活動しており、具体的にはヨーロッパ、アフリカ、アジア、中南米など多岐に渡る国で修道院が存在しています。例えば、イギリス、イタリア、スペイン、フランス、アイルランドなどのヨーロッパの国々、さらにはアメリカ、アルゼンチン、ブラジル、インド、日本などの他地域でもその存在感を示しています。

イギリスや日本での取り組み

イギリスでは1910年に、ポルトガルでは1933年に、アイルランドでは1957年に初めての修道院が設立され、それ以降教育の場を提供する重要な役割を果たしてきました。

日本においては、ラファエラが亡くなってから9年後の1934年10月に4名の修道女がマルセイユから来日し、急速に厳しい状況が訪れた時代に、人間教育の発展に尽力しました。彼女たちは1935年に東京で清泉寮学院を創立し、その後も教育活動を続けました。しかし、1944年には太平洋戦争の影響で休校を余儀なくされ、校舎が焼失するという困難を経験しました。

その後、1946年には長野に長野清泉女学院を開校し、さらに横須賀にインターナショナル・スクールを開設しました。1950年には新制大学も設立され、1962年には東京都品川区に大学が移転するなど、修道会の教育機関は進化を遂げています。

清泉女学院は現在、日本国内に8校を有し、また63校の姉妹校と提携して教育に取り組んでいます。聖心侍女修道会は、その建学の精神のもと、教育活動を通じて多くの人々と結びついており、人間性の醸成とコミュニティの発展に寄与しています。

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