聖書之研究

聖書之研究とは

『聖書之研究』（せいしょのけんきゅう）は、1900年から1930年までの間に発行された日本初の聖書専門雑誌です。この雑誌は、著名な宗教家であり文筆家である内村鑑三によって創刊され、多くの人々に影響を与えました。

創刊背景

内村鑑三は、1898年に萬朝報を退社し、1900年には『東京独立雑誌』の主筆として活動を始めました。当時の『東京独立雑誌』では、社会や政治、文学、科学、教育、宗教に関する評論が行われていましたが、1900年7月5日に突然廃刊となりました。内村はこの最終号において、後に創刊される『聖書之研究』を広告しました。
内村はアマースト大学に在学中から、聖書をテーマとした雑誌を公刊したいという思いを抱いていました。この夢がついに叶い、1900年10月3日に『聖書之研究』の第1号が発行されました。

雑誌の内容

本誌の創刊号には、「感話」「説教」、聖書に関する「講話」や「研究」など、内村本人をはじめとして、田村直臣、住谷天来、吉野臥城といった著名な執筆者による寄稿が掲載されました。初号の発行部数は3000部だったものの、すぐに完売し、再版も行われるほどの人気を誇りました。この成功は、内村の福音に対する情熱とこれを伝えたいという強い意志に支えられていました。

内村の視点

内村は『東京独立雑誌』をモーセの律法に例え、『聖書之研究』はキリストの愛を伝えるものであると位置づけました。このように彼は、異なる媒体を通じてそれぞれの哲学や信念を広めようとしていました。『聖書之研究』は、特にキリスト教信仰の深奥を探求し、人々に愛と希望をもたらすことを目的としていました。

雑誌の終焉

内村鑑三は1930年3月28日に亡くなり、その遺言により『聖書之研究』は357号をもって幕を閉じることとなりました。この雑誌は、約30年間の発行を通じて多くの信者や研究者に影響を与え、その存在感は今でも色あせていません。

参考文献

• - 関根正雄『内村鑑三』清水書院、1967年
• - 鈴木範久『内村鑑三』岩波書店、1983年

『聖書之研究』は、内村鑑三の思想と信念が詰まった重要な作品であり、現在に至るまで多くの人々に価値を提供し続けています。

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