聖母たちのララバイ

『聖母たちのララバイ』の概要と影響

『聖母たちのララバイ』（原題：聖母の子守歌）は、1982年に岩崎宏美がリリースした28枚目のシングルです。この楽曲は日本テレビのドラマ『火曜サスペンス劇場』の初代エンディングテーマとして作られました。当初はエンドロール用に1コーラスのみが制作され、レコードとしてのリリースは予定されていなかったものの、視聴者からの要望に応じてフルバージョンが制作されることになりました。

制作の経緯

ドラマが放送された後、視聴者から作品化を求める声が圧倒的に多く、制作側はその期待に応える形で楽曲のフルバージョンをレコードとして発売することになったのです。このシングルの制作を行ったレコード会社は、当時岩崎が所属していたビクター音楽産業で、レコーディング中にはさまざまな問題が発生しました。特に、Aメロのメロディーが映画『ファイナル・カウントダウン』のBGMに酷似していたため、作曲者のジョン・スコットから抗議を受ける事態となります。その結果、作曲クレジットは木森敏之とジョン・スコットの両名併記に修正され、シングルの発売は当初の予定から1ヶ月遅れの5月21日になります。

経済的成功と影響

発売直後からオリコンのシングルチャートで1位を獲得し、1975年の「センチメンタル」以来7年ぶりに岩崎は通算3作目のチャート1位を記録しました。この曲は総計130万枚以上を売り上げ、1982年のオリコン年間シングルチャートでは3位にランクインするなど、大ヒットを収めました。『ザ・ベストテン』にも14週連続でランクインし、唯一1位を獲得した楽曲でもあります。

この楽曲の成功は、同年の日本歌謡大賞を受賞する要因となり、一般には年末の日本レコード大賞での受賞が期待されていました。しかし、外国人作曲者による曲はその基準に則ってエントリーの資格がなかったため、残念ながら受賞は叶いませんでした。それでも、この曲は多くのリスナーに深い印象を与え、今でも歌い継がれています。

曲の特徴と歌唱スタイル

『聖母たちのララバイ』のオリジナルキーはBm（ロ短調）であり、最高音はDで、岩崎の当時の音域を考慮する必要がありました。生のパフォーマンスでは、キーをB♭m（変ロ短調）に下げて歌うことが多く、このことでオリコン誌上では「緊張感に乏しい」という論争を引き起こしました。この曲にはファルセットが用いられ、岩崎は1985年頃からそのスタイルを取り入れるようになりました。

また、1983年には第55回選抜高等学校野球大会の入場行進曲に採用されるなど、伝説的な楽曲としての地位を確立しました。その後、1993年にはCDシングルとして再発され、別のヒット曲とカップリングされました。

多様なバージョン

この名曲は多くのアーティストによってカバーされ、さまざまなスタイルで再解釈されています。昭和から平成にかけて、多くの時代を超えたアーティストに歌われ続けており、その人気は衰えることがありません。このように、『聖母たちのララバイ』は、ただのヒット曲にとどまらず、日本の音楽シーンに大きな影響を与える存在となっているのです。

『聖母たちのララバイ』は、今後も多くの人々に愛され続ける楽曲であり、日本の音楽史に名を刻んでいます。

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