聞けば効くほどやしきたかじん

『聞けば効くほどやしきたかじん』：やしきたかじんのラジオ進出と革新的な番組スタイル

1985年10月7日から1987年10月2日にかけて、朝日放送ラジオ（ABCラジオ）で放送された『聞けば効くほどやしきたかじん』は、やしきたかじんにとって初のラジオ帯番組であり、そして初の冠番組でした。この番組は、たかじんの強い個性と斬新な番組作りによって、リスナーに大きなインパクトを与え、多くの話題を呼びました。

番組開始にあたり、たかじんは朝日放送側に3つの条件を提示しました。それは、番組冒頭30分間はCMを一切入れないこと、リスナーから寄せられた葉書を読まないこと、そしてゲスト出演者以外の楽曲は流さないことでした。これらの条件は、たかじんがリスナーにじっくりと番組に没頭してもらいたいという強い思いから生まれたものでした。

番組は、たかじんの軽妙なトークと、時折見せる鋭い視点が特徴でした。アシスタントには安井ゆたか、そして1986年3月までは相沢純子が務めました。また、金曜日の放送はABCエキスタで公開生放送を行い、円広志をレギュラーゲストに迎え、二人の軽妙なトークと弾き語りは「音曲漫才」と評されるほどの人気コーナーとなりました。この金曜日の公開生放送での二人の掛け合いは評判を呼び、後に『花王名人劇場』（関西テレビ）への二人での出演へと繋がりました。

この番組開始前、たかじんはMBSラジオの『それゆけ!』火曜日を担当していましたが、番組終了後、この『聞けば効くほどやしきたかじん』でラジオに復帰を果たしました。

番組には、リスナー参加型のコーナーも多数ありました。「とりあえず たかじん」「お昼ざかり話ざかり」「テレフォン大作戦 クイズ真昼の決闘」といったコーナーでは、リスナーからの投稿や電話参加を通じて、番組を盛り上げていました。特に「ラジオ富くじ ジャックポット」は、往復はがきに4桁の数字を書いて応募するというもので、毎月最終金曜日に抽選を行い、当選者には10万円が贈呈されました。当選者が出ない場合は賞金が翌月に繰り越されるという、スリル満点の企画でした。「フライデーフォーカス 〜私は見てしまった」は、番組開始当初に放送されていたコーナーで、リスナーから寄せられた様々なエピソードを紹介していました。また、ラジオショッピングコーナーも設けられていました。

『聞けば効くほどやしきたかじん』は、たかじんの個性と、彼のラジオ番組に対する熱意が凝縮された番組でした。従来のラジオ番組のスタイルを覆すような斬新な試みは、多くのリスナーを魅了し、たかじんの地位を確固たるものとしたと言えるでしょう。この番組は、後年の彼の活動にも大きな影響を与えた、重要な節目となった番組でした。番組で培われた経験は、後の『たかじんNOマネー』などの番組制作にも活かされています。この番組の成功は、単なるラジオ番組の枠を超え、エンターテイメントとしての可能性を大きく広げたと言えるでしょう。また、円広志との共演は、二人の芸風を融合させた新たな笑いを生み出し、後の共演へと繋がる契機となりました。この番組は、やしきたかじんという稀有な存在を広く世に知らしめるきっかけとなり、彼の独特なスタイルが確立された重要な番組であったと言えます。

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