聴秋閣

聴秋閣：歴史と美を凝縮した楼閣

神奈川県横浜市中区にある三渓園。その園内には、歴史と文化を凝縮した美しい建築物「聴秋閣」が佇んでいます。二層の楼閣風の軽妙な意匠は、三渓園を代表する建造物の一つとして、多くの観光客を魅了しています。国の重要文化財に指定されており、その歴史的価値は極めて高いものと言えるでしょう。

聴秋閣の歴史：幾度かの移築と変遷

聴秋閣の起源は、江戸時代初期に遡ります。元和9年（1623年）、3代将軍徳川家光の上洛に際し、佐久間実勝の指揮の下、二条城内に建造されました。当初は「三笠閣」と呼ばれており、家光から乳母である春日局に下賜された後、春日局の孫、老中稲葉正則の江戸屋敷へと移築されました。

明治維新を経て、明治14年（1881年）には東京府牛込区（現在の東京都新宿区）の二条基弘公爵邸に移築されました。そして、大正11年（1922年）、実業家で茶人の原富太郎（号：三渓）に贈られ、現在の三渓園へと移築されました。この際に、名称が「聴秋閣」へと改められたのです。

聴秋閣の構成：洗練された空間と独特の意匠

聴秋閣は、1階と2階から構成されています。1階は、茶席と次の間から成り立っています。茶席は不整形な平面を持ち、大小さまざまな畳8畳と床の間、棚、付書院が配置され、緩やかな曲線を描く階段室へと繋がっています。入り口は3畳分の床を一段下げたL字型になっており、土間には珍しい木製タイルが敷き詰められています。これは、かつて池に面して建てられていたことを示唆しており、船着場を連想させるような独特の趣があります。

一方、2階は2畳ほどの小さな座敷で、実用性というよりは、外観の美しさを際立たせるための要素として考えられています。二条城に建てられた当初は、1階部分は茶席ではなく、単なる建物であったと考えられており、稲葉邸に移築された際に、茶席として使用できるよう内部が改造された可能性があります。

洗練された意匠と、歴史の重みを感じさせる建築様式は、見る者を圧倒するほどの魅力を放っています。

アクセス：三渓園へのアクセス方法

聴秋閣は、横浜市営バスを利用してアクセスできます。

根岸駅より「本牧」下車、徒歩7分
桜木町駅、横浜駅東口より「本牧三溪園前」下車、徒歩3分

住所：〒231-0824 神奈川県横浜市中区本牧三之谷58-1

三渓園を訪れた際には、ぜひ聴秋閣にも足を運んで、その歴史と美しさに触れてみてください。

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