職業指導

職業指導とは

職業指導（しょくぎょうしどう）とは、職業に就くことを目指す個人に対して、適切な職業の選択や職業適性について支援するさまざまな活動のことを指します。主に、実習や講習などを通じて、その人に最も適した職業を見つける手助けを行い、職業に対する適応能力を高めることを目的としています。日本における職業指導は、特に公共職業安定所や学校などの教育機関で幅広く行われています。

定義と背景

日本の職業指導は、職業安定法の中で『職業に就こうとする者に対し、実習、講習、指示、助言、情報を提供すること』と明確に定義されています。この定義は、職業指導が単なる職業紹介にとどまらず、受け手の能力や適性を考慮した深い支援が求められることを示しています。また、職業訓練とは異なり、職業指導はより広範な意味合いを持ち、職業への適応過程全体をサポートすることが強調されています。

歴史的背景

職業指導の根源は19世紀末のアメリカに遡ります。当時、急激な工業成長によって多くの社会問題が浮上し、職業指導が必要とされるようになりました。当時の社会学者であるF・パースンズは、職業指導の理論的根拠を確立し、内容は現在でも有効とされています。日本では、大正時代にアメリカから職業指導が導入され、1920年には大阪市立職業相談所が設立されました。その後、1940年には国民職業指導所という機関が設立され、職業転換の支援が行われました。

学校における職業指導

学校教育における職業指導は、1922年から始まりました。この頃、指導員の養成が重要視され、職業指導に関する講義が大学でも行われるようになりました。しかし、第二次世界大戦中は、状況が一変し、強制的な労働人材の振り分けが行われたため、職業指導の役割が後退しました。戦後、1948年に職業指導が正式に再開されましたが、1950年代には教育改革が進み、職業指導は進路指導という名称に変更されました。

職業指導の現状

今の職業指導では、教員には進路指導とキャリア教育に関する専門知識を求められるようになっています。2017年の教育職員免許法改正により、全ての教育現場で専門知識を有する教員が必要とされ、ようやく職業指導の重要性が再認識されることとなりました。また、職業指導に関連する専門的な免許取得のための課程も整備され、今後ますます重要な役割を果たすことが期待されています。

まとめ

職業指導は、個人の就業の道を支える重要な活動です。教育や社会の状況に応じて変化しながらも、常にその必要性が再評価されてきました。未来の職業指導がより効果的に機能するためには、専門知識を持つ教育者の養成や、実践的な支援方法の確立が求められます。

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