職業訓練指導員 (森林環境保全科)

職業訓練指導員（森林環境保全科）

職業訓練指導員（森林環境保全科）は、厚生労働省が所管する職業訓練指導員免許の中の一つとして位置づけられる国家資格です。この資格を持つ者は、専門的な知識と技能を活かし、森林環境の保全や適切な管理、さらには関連する林業機械の操作に関する職業訓練の場で指導者としての役割を担います。

日本の国土面積に占める森林の割合は高く、その健全な状態を維持することは、国土保全、水源涵養、生物多様性の保全、地球温暖化対策など、多岐にわたる公益的機能の維持にとって極めて重要です。また、森林資源の適切な利用は地域経済の活性化にも繋がります。このような背景から、森林環境保全や林業分野における高い専門性を持つ人材の育成は喫緊の課題であり、本資格はそのための指導者を養成する上で重要な役割を果たしています。

この免許を取得するためには、所定の試験に合格する必要があります。受験資格については、他の職業訓練指導員免許と同様の一般的な要件に加え、関連分野での実務経験や、造園技能士などの関連資格の保有が有利に働く場合があります。詳細な受験資格は、各都道府県の訓練担当課などで確認することが推奨されます。

試験は、指導者としての資質を問う学科試験と、専門分野の実践能力を評価する実技試験によって構成されています。

学科試験

学科試験は、幅広い知識が問われます。

指導方法

職業訓練の現場で効果的な指導を行うための基礎知識が問われます。具体的には、職業訓練の基本的な考え方や原理、教科内容を分かりやすく教えるための指導法、訓練生一人ひとりの学習意欲や課題を理解するための心理学、自立した生活を送るための支援に関わる生活指導、そして職業訓練に関係する様々な法規に関する知識が含まれます。

関連学科（系基礎学科）

森林環境保全分野の基礎となる専門知識が問われます。

森林管理: 森林を持続的に管理するための基本です。樹木の種類や生態に関する知識、森林の面積や立木の本数などを把握するための測量法や測樹法、将来を見据えた森林経営の計画、そして森林に関する各種法令の理解が必要です。
林業機械: 森林での作業に不可欠な機械に関する知識です。チェーンソー、高性能林業機械（ハーベスタ、フォワーダなど）といった林業機械の種類、それぞれの構造や仕組み、そして基本的な操作方法について問われます。
安全衛生: 森林での作業は危険を伴うため、安全かつ健康に働くための知識が重要です。作業現場での事故を防ぐための安全管理、作業員の健康を守るための衛生管理に関する知識が含まれます。

専攻学科

森林環境保全科として特に専門的な知識が問われます。

森林環境保全: 森林の多様な機能を維持・向上させるための専門知識です。森林を活用したレクリエーションや教育など、森林空間の多面的な利用、治山ダムや林道などの建設・維持に関わる森林土木施工法、そして森林生態系の維持や生物多様性の保全に関わる技術や方法論について深く問われます。
* 林業機械作業法: 林業機械を現場で安全かつ効率的に使用するための知識です。作業前後の機械の点検や適切な整備法、そして現場の状況に応じた最適な作業システムを計画・実施するための知識が問われます。

実技試験

実技試験では、学科で習得した知識を基にした実践的な技能が評価されます。「森林環境保全」の分野に特化した内容であり、例えば、森林の計測、簡単な森林土木作業、安全な機械操作や点検など、実際の森林での作業を想定した技能が試されることになります。指導者として訓練生に模範を示すことができる、確かな技術力が求められます。

この免許を取得することで、公共の職業能力開発施設や民間の研修機関などで、次代を担う森林・林業分野の人材育成に貢献することができます。森林資源の適切な管理と環境保全の重要性が高まる中で、本資格を持つ専門家の活躍が期待されています。

もう一度検索