造園技能士

造園技能士（ぞうえんぎのうし）は、日本の国家資格である技能検定制度に基づき認定される専門職です。この資格は、造園分野における実践的な技能と関連知識が一定水準以上であることを証明するもので、都道府県知事が実施する学科試験と実技試験に合格することで取得できます。試験問題の作成は中央職業能力開発協会が行い、試験実施は主に都道府県職業能力開発協会が担います。

職業能力開発促進法により、「造園技能士」の名称は、この国家資格を持つ者だけが使用できる名称独占資格となっています。資格を持たない者がこの名称を不正に使用することは禁じられています。

概要

造園技能士の活躍の場は広範にわたります。個人の住宅庭園の設計、施工、維持管理から、マンションの植栽、公園や街路樹の整備、公共施設の緑化、オフィスビルや工場の敷地緑化に至るまで、あらゆる環境における造園業務においてその専門性が不可欠とされています。庭に関する深い知識と確かな技能が求められる職業です。

造園技能士の資格は、関連する他の資格取得にも有利に働きます。例えば、造園施工管理技士の受験資格の一つとされたり、職業訓練指導員（造園科、森林環境保全科）の実技試験が免除されたりします。

資格には技能レベルに応じて等級があり、1級、2級、3級に区分されます。それぞれ上級技能者、中級技能者、初級技能者として位置づけられています。

受験資格

各等級の受験には、原則として実務経験が必要となります。

1級：実務経験7年以上
2級：実務経験2年以上
3級：実務経験1年以上

ただし、職業訓練歴や学歴によって、必要な実務経験年数は短縮される場合があります。

試験内容

試験は、学科試験と実技試験の両方が課され、それぞれの合格基準は100点満点中65点以上です。

学科試験

出題形式は、真偽を問う問題と四肢択一方式です。

1級・2級：問題数50題、試験時間100分
3級：問題数30題、試験時間60分

試験科目は多岐にわたり、以下の内容が含まれます。

1. 庭園及び公園：種類、構成、特徴、主要施設
2. 施工法：機械・工具の使用法、施工計画（1・2級）、各種工法、管理方法、玉掛け、附帯工事
3. 材料：使用する材料の種類、性質、用途
4. 設計図書：設計図の作成、積算（1級）
5. 測量（1・2級）：測量器械、測量の方法（1級）
6. 関係法規：都市公園法、自然公園法、建設業法など造園工事に関連する部分
7. 安全衛生：安全衛生に関する知識

実技試験

実技試験は、実際の造園作業を模した作業試験と、樹木に関する知識を問う要素試験（樹種判定）で構成されます。

1級：
作業試験（3時間30分）：竹垣製作、つくばい敷設、飛び石・延段敷設、景石配置と植栽
要素試験（10分）：樹種の判定
2級：
作業試験（3時間30分）：四ツ目垣製作、飛び石・敷石敷設、低木植栽、支柱取付け
要素試験（7分30秒）：樹種の判定
3級：
作業試験（2時間30分）：竹垣製作、縁石敷設、敷石敷設
要素試験（5分）：樹種の判定

合格率

過去の試験結果を見ると、平均的な合格率は1級でおよそ25%、2級で約40%程度となっています。

取得後の称号

技能検定に合格すると、等級に応じて「技能士」の称号が付与されます。名刺やウェブサイトなどで資格を表記する際は、「1級造園技能士」、「2級造園技能士」、「3級造園技能士」のように、必ず等級を明記することが求められます。等級を省略したり、誤った位置に表示したりすることは認められていません。