肉蒲団

肉蒲団（にくぶとん）について

肉蒲団は、中国清代の文学作品であり、特に好色文学の一部と見なされています。別称として覚後禅とも呼ばれており、英語では「Carnal Prayer Mat」として知られています。この作品は、李漁によって書かれたとされており、全6巻20回から構成されています。

物語の概要

物語の中心となるのは未央生という名の青年です。彼は色道を遍歴しながらさまざまな経験を積み、最終的には仏門に帰依するという道を選びます。未央生の生活と恋愛、そしてその先に待つ宗教的な選択が描かれています。特に、彼とその妻である玉香が元代の著名な画家・趙孟頫が手がけた春画『三十六幅春画冊』を鑑賞するシーンは、本作の特徴的な描写の一つです。これにより、肉蒲団は単なる好色文学にとどまらず、芸術や文化の影響も受けた作品であることが際立ちます。

作品の影響

肉蒲団は、その独特な内容から、朝鮮などの他の地域の文学にも影響を与えました。特に、朝鮮の好色文学、例えば『東廂記』や『北廂記』においては、肉蒲団の要素が引き継がれています。また、十六葉の春画冊は、金弘道による『春画十図』にも影響を及ぼしたことが知られています。これにより、肉蒲団は単なる一作品にとどまらず、その後の文化や文学に多大な影響を与えたことがわかります。

日本語訳

この作品は日本でも翻訳されており、伏見冲敬氏の訳による『完訳 肉蒲団』が2010年に平凡社から出版されています（ISBN 978-4-582-76699-8）。この翻訳は、もともとは1951年に第一出版社から出版されたものです。

映画化

肉蒲団は、その内容からも映画化されており、いくつかの作品が制作されています。1991年には、香港で『SEX&禅/中国絶倫珍珍秘伝』（原題：玉蒲團之愉情寳鑑）が公開され、続いて1996年には『SEX&禅 外伝』や、スー・チーが出演する『SEX&禅　二之玉女心經』が公開されました。また、2011年には『3D SEX & 禅』（原題：3D肉蒲團之極楽寶鑑）という作品も登場しています。これらの映画は、肉蒲団の持つ独自の魅力を映し出す試みとして注目されています。

まとめ

通してみると、肉蒲団はその性描写や青年の成長過程、また他の文学作品への影響を通じて、単なる好色文学としての枠を超えた作品となっています。文化や歴史を背景に持つこの作品は、今なお多くの人々に語り継がれ、鑑賞されています。

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