肉骨粉

肉骨粉とは

肉骨粉とは、畜産動物（牛、豚、鶏など）の解体処理後に残る、食肉以外の部位（骨、内臓、屑肉など）を加熱処理し、脂質を取り除いて粉末状にしたものです。この処理をレンダリング（化製処理）といいます。

肥料としての利用

元来、肉骨粉は畜産副産物を乾燥・粉砕して肥料として利用していました。特に牧草用の肥料として重宝されていました。

各国・地域における規制と利用

EU（欧州連合）

EUでは、畜産副産物をリスク度に応じて3つのカテゴリー（C1、C2、C3）に分類しています。C1カテゴリーは焼却処分、C2カテゴリーは肥料やセメント原料として利用されます。ドイツでは、州によって利用範囲が異なり、一部の州では牛由来の肉骨粉の肥料利用が解禁されていますが、有畜農家の利用を制限している州もあります。

日本

日本では、BSE発生リスクの減少を受けて、2014年1月4日から牛由来の肉骨粉の肥料利用が再開されました。ただし、管理措置が義務付けられています。

飼料としての利用

肉骨粉は飼料としても利用されてきました。18世紀の産業革命期にイギリスで、羊に肉骨粉入りの飼料を与えたところ成長が早まったことが始まりとされています。安価で、タンパク質、カルシウム、リン酸質が豊富であるため、BSE問題が起こるまでは広く使われていました。

BSE（牛海綿状脳症）との関わり

BSE（いわゆる狂牛病）の感染原因として、BSE感染牛を原料とした肉骨粉などの飼料の利用が指摘されています。

日本

日本では、肉骨粉などの牛用飼料への利用は禁止されており、牛用飼料とその他飼料との交差汚染を防ぐため、製造・出荷・運送・保管・給与の各段階で分離措置が講じられています。

アメリカ

アメリカでは、1997年以降、哺乳類由来の肉骨粉などのタンパク質を反芻動物の飼料に用いることが禁止されています。ただし、家禽など非反芻動物由来のタンパク質は牛の飼料に使うことが許容されています。しかし、家禽飼料に牛の肉骨粉が含まれる可能性があり、家禽の食べ残しや排泄物（家禽くず）がBSE感染の抜け穴になることが懸念されています。

アメリカでは、2003年末にBSEが発生したことを受けて、2004年に家禽くずの牛飼料への利用が一時的に禁止されました。しかし、2005年には家禽飼料に牛由来の危険部位を使用しない規制を加えて、家禽くずの牛飼料への使用が再び承認されました。

全米肉牛生産者・牛肉協会はこの措置を支持していますが、一部の専門家や消費者団体からは依然として懸念の声が上がっています。また、大手外食企業であるマクドナルドは家禽くずを牛飼料として使用することを認めない方針を表明しています。オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、欧州諸国では、家禽くずの牛飼料への使用は禁止されています。

EU（欧州連合）

EUでは、2001年に家畜や養殖魚の餌への肉骨粉などの動物性加工タンパク質（PAP）の使用を完全に禁止しました。その後、2013年に養殖魚へのPAPの使用を解禁し、2021年9月には、豚や家禽へのPAPの使用を解禁しました。しかし、牛、山羊、羊などの反芻動物の餌へのPAPの使用は依然として制限されています。

その他の情報

関連用語として、畜産副産物、化製場、食品廃材、BSE問題、牛海綿状脳症対策特別措置法などが挙げられます。

まとめ

肉骨粉は、畜産副産物を有効利用する手段として、肥料や飼料として活用されてきました。しかし、BSE問題の影響により、その利用には厳しい規制が設けられています。各国や地域によって規制の内容や方針は異なり、その利用状況は常に変化しています。安全性への懸念から、消費者や専門家の間では、肉骨粉の利用に関して様々な意見が存在しています。

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