肝付兼太

肝付兼太の生涯とキャリア

肝付兼太（きもつき かねた、1935年11月15日 - 2016年10月20日）は、日本における声優、俳優、演出家として広く知られる存在でした。彼は鹿児島県で生まれ、幼少期は東京で成長しました。この背景により、彼の多様な声や演技スタイルが築かれました。

生い立ち

肝付は、鹿児島県の揖宿郡喜入町にある家に生まれました。幼少期には、東京に移住し、さまざまな環境で育ちました。特に戦時中は疎開を経験し、内向的な性格から苦しい思いをしたものの、それを克服したことで、アーティストとしての基礎を固めることとなりました。彼曰く、東京に戻ったときは新鮮な感情に包まれ、より明るい自分に変わったと語っています。

演技への道

中学生の頃から俳優を志し始め、数回のオーディションを受けるも成功には至りませんでした。しかし、ラジオドラマの魅力に気付き、その後声優としての道を選びました。彼は、高校で演劇部を立ち上げ、その指導を通じて演劇への情熱をさらに深めました。

声優としてのキャリア

肝付は、1956年に映画『こぶしの花の咲くころ』で俳優デビューし、以降は劇団七曜会などに所属し、着実に経験を重ねました。1960年代から1970年代にかけてのアニメ草創期において、彼は数多くの作品で声を担当し、その存在感を発揮しました。中でも、アニメ『ドラえもん』の骨川スネ夫役や『オバケのQ太郎』のゴジラ役など、数々の人気キャラクターで知られています。

代表的な作品

彼のキャリアの中で、特に印象に残るのは『ジャングル黒べえ』の黒べえ役や、『ドラえもん』でのスネ夫役です。『ドラえもん』では1979年から2005年まで26年間もその声を担当し、声優としての地位を不動のものとしました。また、『にこにこぷん』のじゃじゃまる役としても広く愛されていました。

劇団21世紀FOXの設立

1983年、肝付は「劇団21世紀FOX」を設立し、演出と若手俳優の育成に力を入れました。劇団では多くの作品を手掛け、演技の幅を広げると共に、後進の指導を行いました。彼の努力は、2008年には劇団が結成25周年を迎えるほどの成果を上げました。

受賞歴

肝付はその功績が評価され、2005年には第14回日本[[映画批評家大賞]]で田山力哉賞を受賞し、2012年には声優アワードの功労賞を受賞するなど、数多くの名誉を手にしました。

晩年と死

彼のキャリアは2016年まで続きましたが、同年10月に肺炎により逝去。彼の最後の仕事は、NHKラジオの『ラジオ深夜便』への出演でした。その後も、収録済みの作品がいくつか放送されています。

肝付の人柄

肝付は、明るく穏やかな性格で知られ、多くの同業者から愛されていました。彼の座右の銘は「敬天愛人」で、生涯を通じてその言葉を大切にしていました。家族との時間も大切にし、息子と娘を持つ父親としての一面もありました。

肝付兼太の遺したものは、声優業界だけでなく、日本のエンターテインメント界全体においても大きな影響を与え続けています。彼の演技、指導の精神、その愛されるキャラクターは、今もなお多くの人々の心に刻まれています。

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