田山力哉

田山力哉の全貌

田山力哉（たやま りきや、1930年6月1日 - 1997年3月23日）は、日本を代表する映画評論家であり、映画への深い愛情を持った人物です。兵庫県神戸市に生まれ、旧制都立武蔵中学校から早稲田大学第一政治経済学部経済学科に進学しました。大学卒業後は、日新火災海上保険に勤務の後、1961年に日本放送協会（NHK）に入局し、国際局での業務に従事しました。しかし、彼の本来の情熱は映画にあり、1950年代早い段階から映画雑誌『キネマ旬報』や『映画評論』に読者投稿を行い、次第にその才能を認められるようになります。

1969年にはNHKを退局し、フリーランスとして映画評論とフランス語の翻訳など、様々な執筆活動をスタートさせました。毒舌として知られる彼の評論スタイルは、特にフランス映画に強く、1972年以降はフランスのカンヌ国際映画祭にも頻繁に出席し、そこでのレポートを執筆しました。彼のコラム「シネマ・ア・ラ・モード」は、2度にわたって読者賞を受賞するなど、多くのファンに支持されました。

田山は評論活動だけでなく、映画やテレビドラマへのカメオ出演も行い、映画関係者との共著や小説執筆も手がけました。1984年に肝硬変と食道動脈瘤で一時重病にかかるも奇跡的に回復し、97年に肝不全にて66歳でこの世を去りました。彼の業績を称え、死後には「田山力哉賞」が日本映画批評家大賞の中に設立されました。

評論活動と人間関係

田山力哉は、映画評論において特有の辛口なスタイルを貫き、大島渚監督や北野武監督との間で激しい言葉の応酬を繰り広げました。特に北野監督との関係は複雑でありながらも彼の才能を認めていたことから、近い関係に発展しました。1996年制作の『キッズ・リターン』を絶賛し、北野監督は田山からの称賛に驚いたというエピソードも残っています。

田山は、北野監督と『週刊文春』やテレビを通じて激しい意見を交わし、一度は被告席に座る形での公開討論に臨んだこともありますが、彼のコラムではずっと北野監督を天才と評していました。彼らの関係は、強い批評と相互のリスペクトに基づいており、映画の場で交わされた彼らのやり取りは、映画の魅力をさらに引き立てるものでした。

著作活動

田山の著書は多岐にわたり、映画専門の書籍や映画に基づいたフランス語教材をはじめ、数十点に上ります。「海外の映画作家たち：創作の秘密」や「日本の映画作家たち 創作の秘密」などのシリーズは特に評価が高いです。また、共著でも優れた業績を残しており、脚本家猪俣勝人との共著本も多くの支持を得ました。これらの作品は、映画の専門知識を深めるための重要な資料となっています。

田山力哉は、日本の映画界に多大なる影響を与えた存在であり、その情熱と活動は今も多くの映画ファンや評論家に受け継がれています。彼の毒舌と深い愛情に満ちた評論は、映画の未来をつなぐ一助となり、後世へと語り継がれることでしょう。

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