肥満の疫学

肥満に関する現代の問題

肥満は、人類の歴史において長い間観察されてきましたが、特に20世紀に入ってからその prevalence（有病率）が急増しました。1997年には世界保健機関（WHO）が肥満を世界的なエピデミックと認定し、肥満は以前よりも一般的な状態となっています。これに関連して、過去数十年で肥満の有病率はほぼ三倍に増加し、1975年時点では全世界で成人の約8億5700万人が過体重でしたが、2013年にはその数は21億人に達しています。

肥満の定義

肥満は、ボディマス指数（BMI）が30 kg/m²以上であると定義され、2013年には米国医師会がこれを疾病として認識しました。肥満は、身体に余分な体脂肪が蓄積された結果として発生する健康上のリスクと関連しています。BMIの測定は一般的ですが、他にもウエスト周囲長やウエスト・ヒップ比、皮下脂肪の厚さ、生体電気インピーダンスなどの指標が用いられています。

世界的な状況

経済協力開発機構（OECD）加盟国の子どもたちの中では、5人に1人が過体重または肥満であると報告されています。以前は肥満は主に高所得国の問題と見なされがちでしたが、現在では発展途上国を含む世界中でその問題が拡大しています。2014年のデータによれば、128カ国の平均BMIが過体重の基準を超過していることが示され、特に都市部での肥満の増加が顕著になっています。

地域別の状況

アフリカとアジア

アフリカ西部では、女性の肥満率は男性の3倍に達しています。エジプトでは、過体重や肥満が死亡原因として上位に位置していることが報告されています。アジアでは、日本は最も肥満率が低いとされ、近年では日本の男性の28.6％、女性の20.6％が肥満と考えられています。中国では、肥満の割合が急増しており、2030年までに肥満人口が約6億5000万人に達する見込みです。

北アメリカ

北アメリカの中で肥満の有病率が最も高いのは、米国とメキシコです。米国では、1960年代から肥満率がほぼ3倍に増加し、成人の約39.6％が肥満であるとされています。特に重度肥満の割合も増加しており、肥満による健康リスクは顕在化しています。メキシコでも肥満率が急上昇しており、特にファーストフードの普及が影響を与えています。

ヨーロッパ

ヨーロッパ各国でも肥満率が増加しており、特に英国では過去30年間でその割合が約4倍に増加しています。欧州連合の各国においても、男性や高齢者の肥満率が高まりつつあります。アジアやアフリカと同様に、都市化とともに肥満が拡大している状況が確認されています。

結論

肥満は単なる外見の問題だけでなく、心臓病や糖尿病などの慢性疾患のリスクを高める重要な健康問題であり、社会全体で取り組む必要があります。WHOは、肥満対策のための行動を上流から下流に分類し、政府や個人がどのように関与すべきかを示唆しています。多面的なアプローチが求められる中、国や地域でのニーズに応じた対策が重要です。肥満がもたらす健康リスクを軽減し、より健康的な生活を促進するためには、包括的な政策と個人の意識向上が必要不可欠です。

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