肩ツキ

囲碁の戦術「肩ツキ」とは？

囲碁における「肩ツキ」とは、相手の石の斜め上、具体的には「肩」の位置に打つ手のことを指します。相手の石の勢力を削ぎ、模様の拡大を防ぐ効果があります。「カタツキ」とカタカナで表記されることもあり、動詞としては「肩をつく」と表現します。

肩ツキの基本

肩ツキは、相手の石よりも上の位置に打つ場合に用いられます。もし相手の石よりも低い位置に打つ場合は、「カド」と呼ばれる別の戦術になります。

肩ツキの例

肩ツキは、相手の模様を消すための有効な手段としてよく用いられます。例えば、相手が隅や辺に大きな模様を築こうとしている場合、その要となる石の肩に打つことで、模様の拡大を阻止し、相手の計画を大きく崩すことができます。

具体的な例として、以下のような局面を考えてみましょう。


[ここに図を挿入]


この図で、もし白がaのあたりに打つことができれば、大きな模様を築くことができます。それを防ぐために、黒は1と肩ツキをすることで、白の模様の拡大を防ぎます。黒は5までと軽く逃げ出すことができ、この石はそう厳しい攻めを受けることはありません。

AIによる肩ツキの活用

近年、囲碁AIの進化によって、肩ツキの重要性が再認識されるようになりました。特に、モンテカルロ法を基礎とするAIは、積極的に肩ツキを用いる傾向があります。

AlphaGoの衝撃

2016年、AlphaGoと李世ドルとの対局で、AlphaGoが四線への肩ツキを放ったことは、当時の囲碁界に大きな衝撃を与えました。それまでの常識では考えられなかったこの手は、AIによる新たな戦術の可能性を示唆するものとなりました。

シマリへの肩ツキ

また、AIの登場以降、小ゲイマジマリに対する肩ツキが頻繁に見られるようになりました。これは、小ゲイマジマリが凝り形になりやすいという弱点を突いたもので、模様の発展性を阻害する効果があります。この影響で、これまで有力とされてきた小ゲイマジマリの使用頻度が減り、二間ジマリなどより広いシマリが採用されるようになりました。このように、AIの出現は、従来の囲碁の考え方を大きく変えつつあります。

まとめ

肩ツキは、囲碁において非常に重要な戦術の一つです。模様の消し、相手の構想妨害など、様々な局面で活用できます。AIの進化によって、その価値が見直され、現代囲碁においては、欠かせない戦術となっています。肩ツキを理解することは、囲碁の腕を上げる上で重要な一歩となるでしょう。

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