胆沢ダム

胆沢ダムについて

胆沢ダム（いさわダム）は、岩手県の奥州市に位置する特定多目的ダムで、国土交通省の東北地方整備局によって建設・管理されています。このダムは、一級河川である北上川の支流、胆沢川に位置し、1953年に完成した石淵ダムの約2.0km下流に新たに設けられました。胆沢ダムは、堤高132.0mを誇り、東北地方の多目的ダムの中では最も高く、堤体積は全国第2位、堤体長723mと国内最長を記録するなど、非常に大規模なダムです。2013年の11月16日に完成し、これにより石淵ダムは完全に水没しました。

沿革と建設の歴史

北上川の総合開発に関しては、5つの多目的ダムを建設する「北上川五大ダム計画」が策定され、その第1号として石淵ダムが1953年に完成しました。しかし、石淵ダムは灌漑機能を重視した設計であったため、有効貯水容量が制限されており、治水機能に関しては十分とは言えませんでした。そのため、胆沢川への流入水量が変動する中、ダムの改造が必要とされました。

1967年には、石淵ダムの再開発計画が検討され、その後1973年に「胆沢川総合開発事業」として新たなダムの建設が決定しました。こうして、「胆沢ダム」という名称がつけられ、以降の工事が進められました。

ダムの構造と規模

胆沢ダムは、中央に粘土層を持つロックフィルダムです。ダムの設計堤体積は1350万m³であり、国内のダムの中では第2位となっています。洪水時に水が適切に流下できるように、洪水吐きゲートも設けられており、常用水位を安定的に維持します。また、台風や集中豪雨時には横自由越流方式を用いて、急激な水位上昇にも対応可能です。ダムの主な目的は、洪水調節、灌漑用水の供給、上水道の提供、および水力発電です。

補償交渉と地域社会

胆沢ダムの建設には、42世帯の住民の移転が伴いました。特に、温泉施設の水没などが問題となり、補償交渉は難航しました。しかし、1990年には特別措置法の適用を受け、補償に関する合意が成立しました。このように手厚い対策を講じながら、地域住民との協調を図りつつ、ダムの建設が進められました。

地震の影響

2008年に発生した岩手宮城内陸地震は、胆沢ダムにも影響を及ぼしました。コンクリートの洪水吐きに損傷が見られたものの、大きな問題には至りませんでした。迅速な緊急工事により危機を乗り越えることができました。

訪問者への案内

胆沢ダムは、国道397号を通じてアクセス可能です。周辺には資料館や展望台が設けられており、ダムの構造や貯水池の情報を学ぶことができます。ダム周辺を訪れる際は、ぜひ資料館に立ち寄り、その歴史と役割を実感してみてはいかがでしょうか。

このように胆沢ダムは、地域の洪水管理や水供給に重要な役割を果たし、高度な技術によって支えられています。今後もこのダムは多くの人々に利用されることでしょう。

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