胚盤胞

胚盤胞（はいばんほう）とは

胚盤胞とは、受精卵が卵割を経て形成される初期胚の一構造であり、着床前の段階に見られます。具体的には、卵割腔が形成された後に出現します。

胚盤胞の構造

胚盤胞は、内部に内細胞塊（Inner cell mass：ICM）または胚結節と呼ばれる細胞集団と、外側を覆う栄養膜（Trophoblast）という二つの主要な細胞群から構成されています。ヒトの胚盤胞はおよそ70〜100個の細胞からなる塊です。

内細胞塊（ICM）: 将来、胎児の体を構成する全ての細胞に分化する能力、いわゆる多能性を持つ細胞集団です。この内細胞塊からES細胞（胚性幹細胞）が樹立されることから、再生医療分野において非常に重要な役割を果たします。
栄養膜: 胎盤や羊膜など、胎児を保護し、成長をサポートする胚体外組織へと分化します。

胚盤胞の形成過程

胚盤胞の形成は、受精後5日目頃から始まります。桑実胚（morula）と呼ばれる段階を経て、細胞の性質に差が生じ始め、内細胞塊と栄養膜へと分化していきます。この差次的発現は、細胞の位置関係に影響されると考えられています。

例えば、転写因子であるOct-3/4は内細胞塊で主に発現し、Cdx2は栄養膜で主に発現します。受精卵の中央部に位置する細胞と外部に位置する細胞とでは、存在する環境が異なるため、遺伝子の発現パターンにも違いが生じると考えられています。

胚盤胞の重要性

胚盤胞は、着床という生命の根源的な現象を理解する上で不可欠な存在です。また、ES細胞の供給源として、再生医療の発展に大きく貢献しています。発生生物学、不妊治療、再生医療といった幅広い分野において、胚盤胞に関する研究は重要な意味を持っています。

参考文献

Prenate（外部サイト）

外部リンク

Blastocyst photos at different stages of development（様々な段階の胚盤胞の写真）
* Diagram at weber.edu（図解）

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