胡亢

胡亢（こ こう、生年不詳 - 313年）は、西晋末期から五胡十六国時代にかけて、現在の中国湖北省荊州一帯で独自の勢力を築いた人物です。

元々は西晋の皇族である新野王、司馬歆（しば きん）の配下で、牙門将という役職にありました。しかし、西晋王朝が衰退し国内が混乱する永嘉6年（312年）に、胡亢は竟陵（きょうりょう、現在の湖北省）で兵を挙げ、自ら楚公（そこ）と称して勢力を拡大。荊州一帯を侵略しました。また、司馬歆の部下であった南蛮司馬の杜曾（とそう）を竟陵郡太守に任命し、勢力基盤の強化を図りました。

しかし、胡亢は非常に猜疑心が強い性格であったと伝えられています。そのため、配下の将軍たちを次々と疑い、殺害するという行為を繰り返しました。これにより、彼の政権内部では不満と不安が募り、崩壊の危機が迫っていました。

永嘉7年（313年）、ついに胡亢の猜疑心は、自身にも災いをもたらすこととなります。度重なる粛清により、次は自分が殺されるのではないかと恐れた杜曾は、密かに王沖（おうちゅう）の軍勢を利用して胡亢を討つ計画を立てます。

杜曾は、胡亢配下の軍勢が出撃し、城内の警備が手薄になった隙を狙い、計画を実行に移しました。そして、杜曾自身の手によって胡亢は殺害され、その政権は杜曾によって引き継がれることとなったのです。

胡亢の政権は短命に終わりましたが、西晋末期の混乱した時代を象徴する出来事の一つとして、歴史に名を残しています。彼の生涯は、猜疑心が組織をいかに崩壊させるかの教訓としても捉えることができるでしょう。

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