胡啓立

胡啓立（フー・チーリー）

胡啓立は、1929年10月6日に生まれた中華人民共和国の政治家です。彼は中国共産党において重要な役割を果たし、第13期中央政治局常務委員や元中央書記処常務書記といった要職を歴任しました。

1951年に北京大学物理学科を卒業後、同大学で中国共産主義青年団書記や全国学生連合会主席を務めました。しかし、文化大革命の時期には下放処分を受けました。1972年に寧夏回族自治区で復活を遂げると、地方の党委員会で幹部職を歴任しました。その後、清華大学の党委副書記や中国共産主義青年団中央書記処書記に選出され、政治的な影響力を増していきました。

1980年には、天津市党委書記と市長を兼任し、唐山地震で大きな被害を受けた天津市の復興に尽力しました。1982年には中央に移り、党中央弁公庁主任や党中央書記処書記を歴任し、当時の総書記であった胡耀邦を支えました。1985年には中央書記処常務書記に就任し、1987年には政治局常務委員に昇格しました。この間、彼は党の要職を歴任し、その影響力を拡大していきました。

しかし、1989年の天安門事件において、胡啓立は学生運動に同情的な立場を取りました。彼は戒厳令に反対したため、政治局常務委員と書記処書記の職を解任され、党中央委員に格下げされました。この事件によって、彼は政治的なキャリアにおいて大きな挫折を経験しました。

1991年、胡啓立は機械電子工業部の副部長として復活しました。彼は経済改革を推進し、遅々として進まない改革を推し進めるために江沢民総書記に圧力をかけました。1993年には同部の部長に昇進し、職員の大幅削減や中国聯通の設立を主導しました。しかし、政治局への復帰は叶いませんでした。1998年には全国政治協商会議の副主席に就任しました。2001年と2002年には日本を訪問し、後者の訪問時には小泉純一郎首相と会談しました。

2003年に引退した後、2005年には胡耀邦総書記の生誕90周年を記念して、「我が心の中の耀邦」という文章を寄稿し、胡耀邦が自身に最も影響を与えた人物であると述べています。

胡啓立は、第12期から第14期にかけて中央委員を務め、第12期と第13期には中央書記処書記、第12期には政治局委員、第13期には政治局常務委員を務めました。彼の政治キャリアは、文化大革命での失脚、その後の復活、天安門事件による失脚、そして経済改革への貢献と、波乱に満ちたものでした。

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