唐山地震

唐山地震（とうざんじしん）

1976年7月28日、中国河北省唐山市付近を震源として発生したマグニチュード7.6の直下型地震です。この地震は、当時有数の工業都市であった唐山市を壊滅させ、20世紀最大級の地震災害の一つとして知られています。

地震の概要

地震が発生したのは、1976年7月28日午前3時42分（現地時間）です。震源は唐山市南部で、深さは12.2kmでした。地震の揺れは14～16秒間続き、1100km以上離れた場所でも感じられました。同日中には、灤県でマグニチュード7.0の大きな余震が発生し、被害をさらに拡大させました。この余震は、本震で瓦礫の下敷きになった人々の救助活動を遅らせる要因にもなりました。また、西方150kmの北京でも強い揺れが感じられ、市民は余震のたびに屋外での生活を余儀なくされました。

地震の原因は、それまで知られていなかった「唐山断層」という傾斜走向断層の活動によるものとされています。この断層は北北東-南南西方向に走り、長さ120kmにわたって地表にずれが生じました。地表には長さ8km、幅30mの断層が形成され、最大変位量は水平方向に1.5m、上下方向に0.7mに達しました。

甚大な被害

公式発表によると、この地震による死者は24万2000人ですが、実際には65万5000人に達したという推計もあります。負傷者は少なくとも70万人（重傷者は約8万1000人）に上ります。地震が発生したのが未明であったため、耐震性の低い煉瓦造りの家屋の下敷きとなり、多くの人が命を落としました。犠牲者には、火力発電所の建設のために派遣されていた日立製作所の社員3名も含まれています。

地震により、唐山市はほぼ壊滅状態となり、市内の未補強の建造物の85％以上が倒壊・損壊しました。また、土壌の液状化により砂が噴出し、農作物や道路、鉄道、橋、ダム、井戸などにも大きな被害が出ました。経済的損失は約30億中国元と推定されています。

当時の状況

地震発生当時、中国は文化大革命の最中であり、毛沢東政権の末期でした。そのため、中国政府は「自力で復興する」として外国からの援助を拒否しました。この対応が犠牲者の拡大を招いた一因とも言われています。また、政府の方針により被害の実態が伏せられ、死者数も公式発表を大幅に上回る、60万人から80万人、あるいはそれ以上とする非公式な情報も存在します。地震発生の情報もすぐに公表されず、日本に伝えられたのは発生から21時間後でした。

唐山市の復興と現在

唐山市では、この地震によって14万8000人が亡くなり、重傷者は8万人以上に達しました。これは市民の21.2%にあたり、住宅の全壊率は94%に及びました。復興がほぼ一段落するまでの約10年間、外国人の立ち入りは制限されていました。現在では、抗震記念館が設けられ、倒壊した建物や断層の一部が地震遺跡として保存されています。2006年には、中国共産党が30周年記念大会を開催し、犠牲者を追悼しました。

関連情報

唐山大地震 (映画)：2010年に公開された中国映画
アムールプレート: この地域に影響を与える地殻プレート
* 外部リンク: コトバンクの唐山地震の解説

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