能勢電鉄日生線

能勢電鉄日生線：阪急日生ニュータウンへのアクセスを担う路線

能勢電鉄日生線は、兵庫県川西市の山下駅から兵庫県川辺郡猪名川町の日生中央駅までを結ぶ、全長2.6kmの鉄道路線です。日本生命保険と新星和不動産が開発した阪急日生ニュータウンへのアクセスを確保するために建設され、地域住民の生活に密着した路線として重要な役割を担っています。

路線の特徴：高架とトンネルが織りなす快適な走行

日生線は、その約34%がトンネル区間、残りは高架区間で構成されています。踏切は一切存在しないため、安全でスムーズな運行を実現しています。全線複線電化されており、直流1500Vの電圧で運行されています。最高速度は80km/hに達し、近郊路線として高い輸送能力を誇ります。自動閉塞式を採用しており、安全運行にも配慮した設計となっています。

運行形態：妙見線直通と日生エクスプレス

日生線の運行形態は、山下駅で妙見線に乗り入れ、川西能勢口駅まで直通する列車が中心です。早朝と深夜には、日生線内を折り返す列車も運行されていますが、それ以外の時間帯は妙見線妙見口駅～川西能勢口駅間の列車と接続するようになっています。

平日朝のラッシュ時と夕方のラッシュ時においては、阪急宝塚線と直通運転を行う特急「日生エクスプレス」が運行されています。この列車は、日生中央駅から阪急大阪梅田駅までを結ぶ重要な輸送手段となっています。日生エクスプレスを除くほとんどの列車はワンマン運転です。

年間を通して安定した運行が行われていますが、日生中央駅南方にある山の原ゴルフクラブで「つるやオープンゴルフトーナメント」が開催される際には、臨時ダイヤが組まれることがあります。また、かつては土曜日に川西能勢口駅行き「日生急行」が運行されていましたが、2017年3月18日のダイヤ改正で廃止されました。ただし、ダイヤが乱れた際には、通常の4両編成列車で急行として運行される場合があります。

歴史：ニュータウン開発と歩む発展

日生線の建設は1976年5月20日に起工式が行われ、1978年12月12日に山下駅～日生中央駅間が開業しました。その後、1995年には架線電圧が600Vから1500Vに昇圧され、1997年にはダイヤ改正により最高速度が60km/hから80km/hに向上、特急「日生エクスプレス」が新設されました。また、段階的にワンマン運転が導入され、2003年には日生エクスプレスを除く全列車で終日ワンマン運転となりました。2013年には全駅に駅ナンバリングが導入され、2017年には日生急行が廃止、2022年にはダイヤ改正により妙見線直通列車が中心となり、線内折り返し列車は早朝と深夜のみに限定されるなど、時代の変化に合わせて運行形態が調整されています。

駅と将来計画：発展の可能性を秘めた路線

現在、日生線には山下駅と日生中央駅の2駅しかありませんが、建設当時から日生中央駅と山下駅の中間地点に新駅設置の要望がありました。1985年には早期開発を目指す協定書が締結されたものの、利用客の見込みが立たず断念、2008年には川西市議会で再び新駅設置計画が発表されましたが、実現には至っていません。

また、日生中央駅の先には2本の留置線があり、この留置線を本線として猪名川パークタウン（イオンモール猪名川付近）まで延伸する計画案もありましたが、環境問題などの課題から頓挫しています。

日生線は、地域のニュータウン開発と歩みを共にし、現在も発展を続けている路線です。将来的な新駅設置や延伸計画の実現によって、更なる発展が期待されます。

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